アウトドアや自然が好きな方にはぜひ知ってもらいたいサステナブルな繊維ブランド『REPREVE®』。使用済みペットボトル等を主原料として作られるエコな素材として知られ、循環型経済の側面からも環境に優しい繊維ブランドと言えます。
今回は、REPREVE®の特徴や使われている製品を紹介し、持続可能な経済活動との関わりについても考えていきましょう。
REPREVE®とは？
REPREVE®（リプリーブ）は、使用済みペットボトル等を主原料として作られる環境に優しい繊維ブランドです。事業を展開するのは米国のUnifi社で、独自の高い技術を用いペットボトルからポリエステル繊維を作り出しています。ペットボトルのリサイクルは新たな資源の採掘や消費を防ぎ、地球資源の保全、そして環境への影響を最小限に抑えることに直結します。
ただ、ペットボトルのリサイクル率には課題もあり、REPREVEのホームページでは「世界では1分間に120万本ものペットボトルが使用され、そのうちリサイクルに回るのはたったの56%」「どうかリサイクルしてください」と訴えかけています。
日本ではペットボトルリサイクル率は86.0％（2021年度）と高い水準ですが、欧州は42.7%（2021年度）、米国に至っては18.0%（2020年度）にとどまり、「ごみ」となっているペットボトルが世界中にあふれている状況がうかがえます。（PETボトルリサイクル推進協議会より）
ペットボトルが繊維として生まれ変わる工程を簡単に説明します。リサイクルに回ったペットボトルは、粉砕、洗浄等の過程を経て有害物質を除去しフレーク状にされます。その後、高品質の樹脂に姿を変えて、最終的に「糸」となるのです。この「糸」は、いわゆるポリエステル繊維と呼ばれるもので、耐久性があり、衣類・帽子・靴などのアパレル全般、寝具や車のシート等にも使用されています。
ペットボトルの姿形からは、これが「糸」に変身するとは信じ難くもありますが、リサイクルされなければただのごみとなる物体に、最新の技術が新たな役割を与えてくれます。
ニュージーランド発のアウトドアブランド「Kathmandu（カトマンズ）」の動画では、私たちが使い終えたペットボトルが糸となりアウトドア製品に生まれ変わる様子がわかりやすくまとめられています。ぜひこちらもご覧ください。
循環型経済とエコ素材の力
REPREVE®のようなエコ素材が循環型経済に与える影響についても考えてみましょう。循環型経済への移行は世界的にその重要性が叫ばれ、移行を目指す取り組みが世界各国で進められています。循環型経済とは、リソース（原材料やエネルギー）の効率的な使用と再利用を推進することで、環境に配慮した持続可能な経済活動を実現しようとする考え方です。リソースを一度使って廃棄する「リニア経済」とは対照的な概念です。
循環型経済では、製品のライフサイクル全体、つまり製造、使用、廃棄、再利用の各段階を通じてリソースの消費を最小限に抑えることを目指します。これにより、地球の貴重なリソースを長期的に確保し、廃棄物の生成を減らすことが可能となります。
REPREVE®は、まさにこの循環型経済の考え方にマッチしていると考えられ、エコ素材であるREPREVE®を何らかしらの製品に利用するということは、持続可能な経済活動を目指す取り組みの一部だと言えます。
特に、ペットボトルやプラスチックごみは「海洋ごみ」との関連も深く、Unifi社はREPREVE®を通して「海洋をプラスチック汚染から守る」ことも目指しています。
2050年には海に生きる魚よりも海洋プラスチックの割合の方が高くなるという衝撃的な調査報告書もあり、REPREVE®のようなエコ素材の活用は必至です。（エレン・マッカーサー財団と世界経済フォーラムが協力し作成した調査報告書「The New Plastics Economy Rethinking the future of plastics」より）
REPREVE®製品の選び方
REPREVE®を利用している企業は、こちらから確認できます。自然愛好家が好むアウトドアブランドで言うと、パタゴニアやO’neill、その他にもKathmanduなど、多くの企業がREPREVE®を使用しています。
かつて、エコフレンドリーな商品と言うと、エコを優先するがあまり品質やスタイルを犠牲にしているケースもあったことと思います。しかし現在は、リサイクルされた素材から作られた商品はサステナブルでもあり、ファッショナブルでもあると感じます。自然やアウトドアが好きな人たちには、環境に優しい繊維で作られた商品を積極的に選んで欲しいものですね。
REPREVE®を使用しているかどうかは、商品ページに記載されている場合もありますので、ぜひ詳細をチェックしてみましょう。
エコ素材を使用した製品は消費者側が購入してはじめて、サステナブルとして価値ある存在になります。皆さまも「REPREVE®」を使用した製品を積極的に購入し、持続可能な経済活動に貢献してみませんか。
参考）
日米欧のリサイクル状況比較
エレン・マッカーサー財団と世界経済フォーラムが協力し作成した調査報告書
Nature Serviceからのお知らせ
日本初上陸となるニュージーランド発のアウトドアブランド「Kathmandu（カトマンズ）」の公式販売をスタートいたします。Nature Serviceの運営する星の森オートキャンプ場 （長野県売木村） にて、ポップアップストアとしての期間限定販売です。これまで海外でしか購入できなかった高品質かつデザイン性に優れたアウトドアウェアやアウトドア用品が国内で購入できるチャンスです！現地販売のみとなりますので、ご興味のある方はぜひ詳細をご確認ください。
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう！」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。