倫理・道徳といった意味のある「エシカル(ethical)」に「ファッション(fashion)」を組み合わせた「エシカルファッション(ethical fashion)」。服やバッグなどの選び方ひとつで、持続可能な世界に貢献することができるファッションスタイル。今回は、エシカルファッションについて探り、その選択が社会にどのような影響を与えているのかを考えていきます。

エシカルファッションとは

エシカルファッションは、単にトレンドを追いかけるだけではなく、自分が身につけるものが環境や社会にどのような影響を与えているかを深く考え、倫理的な価値を重視したファッションのことを指します。

エシカルファッションは、以下の3つのポイントを抑えると理解が深まります。

  • 素材:環境に優しい、再生可能
  • 生産過程:労働者の人権を尊重
  • 企業の倫理:積極的な社会貢献、透明性の高さ

素材は、環境に優しいことが求められ、たとえば、有機コットンや再生可能な素材などの使用がエシカルとして認識されます。生産過程においては、労働者の待遇、作業環境、賃金など、人権を尊重した条件で製造されているかが問われます。企業の倫理面では、会社自体が社会や環境に配慮した経営を行っているかがポイントとなります。具体的には、企業経営の透明性やCSR活動などが該当します。

エシカルファッションが重要な理由

今なぜ、エシカルファッションの重要性を考える必要があるのでしょうか。それにはまず、ファッション業界が社会にどのような影響を及ぼしているのかを理解し、その上で、私たち消費者にはいったい何ができるのかを考えてみましょう。

環境への影響

ファッション業界は、大量の水の使用やCO2排出、廃棄物問題といった環境負荷が大きい産業です。たとえば、たった1枚のT-shirtを作るためのコットンを栽培するのに、約2,600リットルの水が使用されています。

関連記事:ベターコットンとは?綿花栽培の持続可能性を高める新しいアプローチ

私たちの想像を超えるレベルで環境に負荷をかけていることを消費者として認識する必要があるのです。

人権問題

低賃金、長時間労働、過酷な労働環境など、ファッション産業の製造工程では労働者の人権問題が指摘されています。2013年4月に劣悪な労働環境が引き起こした、バングラデシュの縫製工場崩壊事故を記憶している方も多いかもしれません。

関連記事:つくる責任つかう責任 エシカル消費を知ろう!

こういった問題は、大量生産で低価格なファストファッションが引き起こしている側面もあり、消費者にとっては好都合な反面、環境や労働者が犠牲になっている事実を知る必要があります。

消費者としてできること

ファッション業界の問題をさらに悪化させるか、改善に向かわせるのかは、消費者ひとり一人の選択にかかっています。消費行動が社会や環境に与える影響を理解し、エシカルファッションの購入を通じてエシカルな価値観を共有することが、私たちにできる最初の一歩です。

普段、私たちが既製服を購入する時、生産・流通過程にまで思いをはせることは少ないのかもしれません。しかし、私たちの選択が環境問題にとどまらず、人権にも影響を与えていることを知り、自分ごと化して考えていく必要があります。

エシカルファッションを選ぶ際のポイント

では、エシカルファッションを選ぶ際には、何を基準にすれば良いのでしょうか。明確な決まりごとはありませんが、気にしておきたいポイントをまとめました。

エシカルファッションブランドの選び方

エシカルファッションブランドを選ぶ際には、こんなところをポイントにして選んでみてください。

  1. 素材の原産地とその取引条件
  2. 製造過程における労働環境
  3. 環境負荷の低い生産方法
  4. 長く使える高品質な製品

とは言え、取引条件や労働環境等の情報はすぐに確認できるわけではありません。そんな時は、エシカルであることを示すラベルや認証マークもぜひ参考にしてください。

たとえば、フェアトレード認証、オーガニックコットン認証、グローバルオーガニックテキスタイルスタンダード(GOTS)、動物福祉の観点からは、ウェルフェアレスポンシブル・ダウン・スタンダード(RDS)、レスポンシブル・ウール・スタンダード(RWS)といったものがあります。素材・人・環境・動物…etc、見るべきポイントは多岐にわたりますので、まずはご自身が気になるポイントに絞ってブランドや商品を選んでみてはいかがでしょうか。

アプリや検索エンジンを使う選び方

オーストラリアのアプリ「Good On YouⓇ」を使ったおもしろい取り組みを紹介します。Good On YouⓇでは、エシカルファッションブランドを独自の基準で評価し「エシカル度」を可視化しています。一部の国では検索エンジンのBingにこの仕組みを取り入れており、ショッピングをする際にエシカルな商品だけをフィルターにかけることが可能になっています。

検索エンジンBing(オーストラリア)より

おすすめのエシカルファッションブランド

「2023年に購入すべきサステナブルなアウトドアブランド」(「SUSTAINABLE BRANDS: THE BEST OUTDOOR COMPANIES TO BUY FROM IN 2023」)という興味深い記事がありましたので、こちらを参考に、世界的に人気があるエシカルでサステナブルなアウトドアブランドをいくつか紹介します。

Kathmandu(カトマンズ)

ニュージーランドでは誰もが知るアウトドアブランド「Kathmandu」。オーストラリア、北米、欧州でも事業展開しており、B Corp(ビーコープ ※1)を取得している企業です。ベターコットンの使用やRDS(ウェルフェアレスポンシブル・ダウン・スタンダード)、RWS(レスポンシブル・ウール・スタンダード)など、環境・人・動物にも配慮した商品の販売をしています。また、CarbonClick社と提携し、商品購入時に2ドルを支払うことで環境への影響を一部相殺できる仕組みを取り入れています。

関連記事:(※1)B Corpとは?企業の社会的責任を果たす新たなビジネスモデル

RDSの認証マーク

SAVE THE DUCK(セーブ・ザ・ダック)

イタリア生まれのアウトドアブランド「SAVE THE DUCK」。同社もB Corpを取得しています。動物性の素材を一切使用しないキルティングジャケットやリサイクルペットボトル100%のアウターなど、動物福祉やエコ素材の観点からエシカルファッションに取り組んでいます。

Patagonia(パタゴニア)

パタゴニアは、リサイクル素材の使用を増やし、持続可能なサプライチェーンを維持しつつ、製品のライフサイクル全体を通じて環境影響を最小限に抑える取り組みをしています。同社が進めるWorn Wearというプログラムでは、パタゴニア製品を修理して製品寿命を延ばしたり、リサイクルしたりするなどして、廃棄物の削減を推し進めています。

その他にも多数のエシカルファッションブランドが紹介されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください!

エシカルファッションの普及は、ファッション業界の取り組みに加え、個々の消費行動が鍵を握っているといっても過言ではありません。エシカルファッションをとおして、サステナブルな未来を一緒に目指してみませんか。

Nature Serviceからのお知らせ

日本初上陸となるニュージーランド発のアウトドアブランド「Kathmandu(カトマンズ)」の公式販売をスタートいたします。Nature Serviceの運営する星の森オートキャンプ場 (長野県売木村) にて、ポップアップストアとしての期間限定販売です。これまで海外でしか購入できなかった高品質かつデザイン性に優れたアウトドアウェアやアウトドア用品が国内で購入できるチャンスです!現地販売のみとなりますので、ご興味のある方はぜひ詳細をご確認ください。

コメントを残す