自然と触れ合うことにはさまざまなメリットがありますが、都会暮らしではなかなか難しいものです。「都会にいながら手軽に自然を感じる3つの方法」 ではいくつかの工夫を紹介しましたが、今回はさらに深掘りしてみたいと思います。参考にしたのは「Five ways to feel closer to nature – even if you live in the city」と「Seven Ways to Reconnect With Nature When Living in a City」の記事です。自然と触れ合うことの科学的なメリットと、それらを都会でも簡単に享受できる方法を紹介します。
緑地で過ごせば寿命が延びる
自然というと森や山をイメージしがちですが、自然と触れ合うメリットを享受するのには、そこまでの大自然でなくても大丈夫です。都会で大きな自然を見つけることは難しいかもしれませんが、公園、街路樹、屋上庭園などといった緑地はそこかしこにあります。都会に暮らす人の福利と健康のために都市計画で緑地を整備することが重視されているからです。
このような緑地で過ごす時間を持つだけでも健康上のメリットが得られるという研究結果があります。緑地と健康との関連について調査した米国の研究によると、緑地で過ごすことと死亡リスクには逆の相関がある、つまり寿命が長くなるという結果が出ているのです。
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屋外で静かに過ごせば幸福度が上がる
英国エクセター大学の研究では、週に2時間程度の短い時間であっても、自然の中で過ごせば健康や幸福度が上がると述べています。この場合の自然も大自然である必要はありません。一日の始まりに庭でコーヒーを飲んだり、食堂でランチを食べるのではなく公園で食べてみたり、寝る前に数分間星空を眺めたりといったことでいいのです。
ただその時にはポイントがあると研究チームのリーダーであるマシュー・ホワイト博士は言っています。それは「静寂」です。静かに屋外で過ごす時間を持つことができれば、たとえ短時間であっても心を落ち着かせることができ心身の健康状態を良くしてくれます。
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日の出を見れば体が整う
どんな大都会にも毎朝昇ってきている太陽も自然のひとつですが、日の出を見たり、朝日を浴びたりすることはあまり多くないかもしれません。医学博士のモリー・マル―フ氏は、日の出を見ることでエネルギーが高まると述べています。日の出を見ながら朝日を浴びることでメラトニンという睡眠を誘発するホルモンの分泌が止まり、体が活動モードになるからです。
また、早朝に光を浴びるとBMI(肥満度を表す指標)の数値が下がるという研究結果もあります。朝日を浴びると体重が減るというのは不思議ですよね。人間の消化器官は脳の視床下部によってコントロールされているのですが、正しくコントロールするための情報になるものの一つが光なのです。朝の光を浴びることで消化器官の調整が適切に行われ、BMIを下げることにつながります。
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まとめ
自然と触れ合うことの科学的なメリットと、それらを都会でも簡単に享受できる方法を紹介しました。都会に大自然はありませんが、緑地も太陽も星空もそばにあり、そういった自然からも恩恵を得ることはできます。都会の小さな自然との触れ合いを少し意識してみてはいかがでしょうか。
(参考)
Five ways to feel closer to nature – even if you live in the city
Seven Ways to Reconnect With Nature When Living in a City
田舎育ち18年、都会暮らし28年、海外暮らし5年。どこにいても緑と土が必要で、ときどき「山が見たい」と駄々をこねます。老後はヨット好きの主人と海と山の両方が見える場所に住みながら、世界各地を旅したい欲張り50代です。