『ブループラネットII』という番組をご存じでしょうか。2017年に英国BBCテレビで7回にわたって放送された海とそこに棲む生物をテーマにしたドキュメンタリー番組です。海の美しさや海洋生物の生態だけではなく、海洋汚染の深刻さを突き付けたこの番組は、それを見た人々の環境への意識やライフスタイルに大きな影響を与えました。今回は「88% of People Who Saw ‘Blue Planet II’ Changed Their Lifestyle」の記事を参考に、『ブループラネットII』とその影響についてご紹介します。

『ブループラネットII』とは

英国BBCが制作した『ブループラネットII』は、39カ国の海に累計4,000回以上潜り、6,000時間にわたって撮影した水中映像をもとに作られました。サーフィンをするかのように大波に乗るイルカや、サンゴを使ってハマグリの殻を割る賢い魚、仲間のために大きな爪で魚を狩るエビなど、これまで見たこともないような海の生き物たちの生態の数々が紹介されています。それらを見ていると、生き物の愛らしさや不思議さに引き込まれていきます。

しかし同時に『ブループラネットII』は、人間が世界の海に与える影響についても厳しい視線を向けています。アホウドリの巣から見つかる大量のプラスチックの袋、体にビニール紐が絡まった魚、海で分解されたマイクロプラスチックが体内に溜まり死んでしまったイルカの子どもなど、人間が引き起こした海洋汚染の実態を示しています。

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『ブループラネットII』がもたらした影響

『ブループラネットII』は、英国だけでなくヨーロッパやアジアでも放送され、各国で高い視聴率を記録しました。そして、特に海洋プラスチック汚染に対する世間や政治の関心を高め、その影響力は「ブループラネット効果」と呼ばれるほどになりました。

英国で最大手のスーパーマーケットであるウェイトローズ(Waitrose)は、毎年2,000人の成人を対象にした調査に基づいて食品・飲料に関する報告書を発行していますが、それによると『ブループラネットII』が放送された2017年以降で人々の行動に大きな変化が起きています。例えば、60%以上の人が再利用可能な水筒を使用したり、コーヒーをテイクアウトする際にも詰め替え用カップを使ったりするようになりました。また、包装されている果物や野菜よりもばら売りのものを買う顧客が30倍の割合で伸びました。

消費者が積極的に廃棄物の削減に協力するようになったため、ウェイトローズでは使い捨てビニール袋を廃止し、より長持ちするものに変えたり、家庭で堆肥化できるような代替品に切り替えたりという取り組みも始めました。これにより、年間1億3400万枚のレジ袋が削減されています。

まとめ

『ブループラネットII』のプロデューサーであり生物学者でもあるデイビッド・アッテンボロー氏は言っています。「青い地球のすべての生き物の運命は人間の行動にかかっている」と。『ブループラネットII』は、AmazonプライムやDVDなどで視聴できます。一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

(参考)
88% of People Who Saw ‘Blue Planet II’ Changed Their Lifestyle

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