地元の特産品が買えたり、おいしいものが食べられたり、その土地の魅力を知ることができる道の駅。私は道の駅に立ち寄るのが大好きです。今回は、世界自然遺産である白神山地の麓にある「道の駅 津軽白神 ビーチにしめや」(以下、ビーチにしめや)に行ってきました。

弘前市から車を走らせること30分。「ビーチにしめや」は、白神山地の玄関口である西目屋村(にしめやむら)にあります。「ビーチ」という名前から浜辺のような雰囲気を想像していましたが、全くの逆。1,000メートル級の山々に囲まれた場所にありました。ちなみに、「ビーチ」は「Beech(ブナ)」のことでした。白神山地といえば、ブナの原生林ですからね。

ご当地メニューが楽しいレストラン「森のドア」

まず向かったのはレストラン「森のドア」。ちょうどお昼時に行ったので観光客でにぎわっていました。何を食べようかとメニューを見て二度見したのが「津軽ダムカレー」。ダムカレーって何?ということで注文してみたところ、出てきたのがこちら。

見た目もユニークで食べ応えも満点!

津軽白神湖というダム湖をモチーフにしたカレーです。ごはんがダムの壁で、カレールーが貯水池になっています。ブロッコリーやレタスは白神山地をイメージしているのだそう。お見事です!大きなとんかつも乗っていて目もおなかも大満足でした。

もちろん味も◎

「森のドア」では、ちょっと甘めの味噌がたまらなくおいしい「めぇ~や味噌ラーメン」や熊の肉を使った「クマそば」や「クマ丼」も食べられます。料理を頼むとソフトドリンク一杯無料という、うれしいサービス付きです。

こだわりの極上の一杯「白神焙煎舎」

食後に惹きつけられるように立ち寄ったのは「白神焙煎舎」。黒のおしゃれな内観にコーヒーのいい香り。ここのコーヒーはおいしいに違いないと直感でわかりました。

オーナーは、成田志穂さん。お父さんは、コーヒーの歴史を研究し、江戸時代に津軽で飲まれていたコーヒーの抽出方法を再現するなどした青森・弘前のコーヒー文化の立役者とも呼ばれる方なんだそうです。そんな父親の姿を見てきたオーナーもコーヒーにかける思いは並大抵ではありません。だから「白神焙煎舎」のコーヒーにはこだわりがたくさん。

スタッフさんが一杯ずつ丁寧に淹れてくれる

まず、水は白神山地の天然水。ブナ林に降った雨が途方もなく長い時間をかけて土壌で濾過(ろか)された水はとってもまろやか。

こだわりが詰まった一杯

コーヒー豆の焙煎に使う炭は、りんごの木。剪定(せんてい)などで不要になるりんごの木の枝を有効活用して炭を作っています。りんごの木は硬いので火持ちが良く、コーヒー豆を煎るのにぴったりなんだそうです。しかも、その炭は自社の炭工房で専門の職人が作っているというこだわりよう。

旅の途中に、極上のコーヒーと出会えてうれしい!

りんごの木の炭で焙煎し、白神山地の天然水で淹れたコーヒーはやさしい口当たりで香りが高く、想像と期待を大きく超える一杯でした。

「白神焙煎舎」の奥には焙煎工場もあって、見学もできます。また、予約をすればコーヒーの淹れ方を学んだり、焙煎体験をしたりすることもできます。

▼白神焙煎舎 成田 志穂さんのインタビューを以下からお聴きいただけます▼

限定オリジナル商品のある「モンベルコーナー」

写真は展示品。商品は「モンベルコーナー」で購入可能!

白神焙煎舎の前でコーヒーを飲んでいると、すぐ横の壁面いっぱいに色彩豊かなTシャツやタンブラーなどが展示されているのが視界に入ります。アウトドア好きの方は、「モンベル」の文字にすぐに気がつくかもしれません。

「ビーチにしめや」には、アウトドア用のウェアやギアで有名な「モンベル」の商品が置かれたコーナーがあります。ブナ林の散策や西目屋のサイクリングで足りないものがあれば、ここで調達できますよ。

自分用としてもお土産用としてもおすすめなのが、ここでしか買えない限定オリジナル商品。Tシャツやタンブラーなどさまざまなものに、津軽地方に伝わる「こぎん刺し」という刺し子の模様があしらわれているんです。

ひし形に見えるのがこぎん刺しの模様で、よく見ると一番下のひし形の中には青森名産のリンゴが描かれています。こぎん刺しは、津軽の寒い冬を乗り越えるために先人の知恵が生んだ伝統技術。荒い布地の目をこぎん刺しで埋めることで、少しでも暖かい空気が中にこもるようにしたのが始まりなんだそうです。先人の知恵がモンベルと組み合わさって、すてきなグッズになっています。

生はちみつかけ放題の「BeFavo」

BeFavo」は、生はちみつを使ったスイーツやりんごの発泡酒がいただけるお店です。「Bee」は英語で蜂、「Favo(ファーボ)」はイタリア語で蜂の巣という意味。私は甘いものは完全に別腹でいけるタイプなので、ソフトクリームを食べることにしました。なんと、はちみつはかけ放題。永遠にかけ続けたい衝動を抑えるのが大変でした。

このはちみつは、「ビーチにしめや」の屋上に巣箱を置いて集めているんですって。白神山地の雄大な自然の中を飛び回って集められるはちみつは、季節によって色や味が違うそうです。ジェラートは春から販売(なくなり次第終了)していて、特に気になるのが、ばっけ(ふきのとう)味。ばっけの苦味とはちみつの甘さがマッチして癖になるおいしさらしいです。今回、「ビーチにしめや」を訪れたのは11月上旬でジェラートの販売自体が終了していましたが、次にばっけのジェラートを見つけたらぜひ食べたい!

店の奥には醸造所もあって醸造の様子を見ることもできます。今はシードル(りんごを使った発泡酒)を作っていますが、将来的にはワインの醸造も始めるそうで、これもまた楽しみです。

地域の魅力が満載の「農産物直売所」

道の駅に欠かせないのが地元の特産品の直売所。「ビーチにしめや」にも、白神山地で採れた山菜や新鮮な野菜、それらを使った加工品などが農産物直売所でたくさん販売されています。ここで私の心を射抜いたのは「クマカレー」と「クマ丼」のレトルト。パッケージのインパクトが強すぎ。家族や友達に見せたくて、買わずにはいられませんでした。

他にも、白神そばや春夏秋に分けられたはちみつなど地元の特産品がいっぱい。春には白神山地特産のネマガリタケというタケノコや、冬には冷たい水を使って作られた豆の味が濃厚な目屋豆腐(めやどうふ)なども販売されます。

ブナの木を活用した「ブナコ」

白神山地のブナの木を活用した木工製品である「ブナコ」の器やアクセサリー、こぎん刺しの製品、炭俵を背負った女の子の姿をした目屋人形など、地域の伝統や文化に触れることのできる商品もいろいろありました。

参考記事:木の温もりを感じるブナコ製作体験。うつわ作りで思い出を残そう。

目屋人形

楽しさ盛りだくさんの周辺アクティビティ

西目屋村には道の駅の他にも、楽しめる場所やアクティビティがたくさんあります。水陸両用バスで津軽白神湖にダイブしたり、白神山地を流れる岩木川をラフティングするアクティブ系ツアー、ブナ林を散策して、森の中でコーヒーを飲めるという癒やし系のツアーなどなど。白神そば打ち体験やブナコ体験ができる施設もありますよ。

参考記事:
水陸両用バスで水と陸を制覇!乗って驚く3つの魅力
白神山地ゆったりラフティングツアー。家族や仲間と絆を深める冒険へ出よう。
世界自然遺産を歩いてみよう。白神のブナ林散策で探る森の魅力。

さいごに

道の駅 津軽白神 ビーチにしめや」は、白神山地の魅力と西目屋村のこだわりが詰まったワンダーランドでした。いつ行っても、何度行っても、新しい体験や楽しさを発見できそうな場所なので、またぜひ立ち寄りたいと思いました。

🌳白神山地が世界自然遺産に登録された納得の理由!🌳

青森県と秋田県に広がる約13万ヘクタールの広大なブナ天然林は、人間の手がほとんど及んでおらず、8千年以上にわたりその状態が保たれています。この原生的なブナ林は世界最大級の規模を誇り、それが1993年に日本初の世界自然遺産に登録された理由となりました。ここには540種以上の植物、4000種以上の動物が生息し、希少な種も含まれています。これほどの規模の原生林は世界でも珍しく、環境保護の観点からも世界的に高く評価されている場所なのです。

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