冬の澄み切った空気、神秘的な美しい景観、森閑とした森の中。生き物が活動的な夏とは異なり、冬の野外は「静寂」や「清澄」といった別の顔を見せます。そんな中で楽しむ冬のオーバーランディングは人々を特別な体験へといざないます。

しかし、降雪や路面の凍結が発生する冬のアウトドアアクティビティを楽しむには、適切な準備が必要です。今回は、冬のオーバーランディングを安全かつ安心して楽しむためのポイントを紹介します。

準備がカギ

計画的な準備が冬のオーバーランディングを成功させるカギを握ります。冒険には「リスク」がつきものです。それを低減するための準備をしっかりしてから出発しましょう。

旅行計画を人に伝える

旅の目的地や詳細なスケジュールをしっかりと固めます。どのルートを通るのか、どこで宿泊予定なのかなど、現地の情報を収集しつつ決めておきます。その上で、予定を事前に家族や友人に知らせておくことが大切です。何か問題が起きた際に迅速な対応が可能となります。

予備の連絡手段は必須

旅の途中でスマホのバッテリーが切れる、通信環境が良くないといった状況を想定し、予備の連絡が取れる手段は必ず準備しておきたいところです。たとえば、無線機器や予備のバッテリーの携行、衛星インターネットサービス(Starlink等)の利用を検討しましょう。

特に、携帯電話の信号が届かない場所での連絡手段として衛星回線は非常に有用です。また、寒冷地ではバッテリーの消耗が早まることを考慮してポータブル電源を用意するのもおすすめです。

天気予報の確認

天候は冬季のオーバーランディングにおいて極めて重要な要素です。天気予報を定期的に確認し、大雪や嵐を避けるためのルートを検討しておきます。また、出発前日や当日の天候も必ずチェックします。特に冬は、天候の変動が激しく、風雪や低気温といった厳しい環境に見舞われることがあります。降雪や吹雪は視界を大幅に制限し、さらに路面の凍結を引き起こす恐れがあります。

冬のオーバーランディングの必需品

冬のオーバーランディングを安全に楽しむには、さまざまなアイテムの準備が必要です。安全かつ快適性を確保するため、以下のポイントに注意しながら選びましょう。

快適な寝床

適度な暖かさを保ち、心地良い眠りにつける寝床の確保はテント泊や車中泊において非常に重要です。極寒の冬の夜を快適に過ごすためには、寒冷地向けで快適使用温度が目的地と一致する寝袋の用意をおすすめします。快適な睡眠はすべての活動の源になりますので、可能な限りお金をかけて良質な寝具を用意します。

水分と食事

一人あたりの必要量に加えて数日分の水分を準備しておきましょう。冬の乾燥した環境下では想像以上に体内の水分が早く失われ、脱水症状に陥ることもあります。旅行の期間と人数に合わせて十分な量の水を持参し、こまめな水分補給を心がけることが大切です。

食事は、温めればすぐに食べられるレトルト食品や、お湯を注げば食べられるインスタント食品等、簡単に準備ができるものを必ず持参します。特に朝は、一日の活動で消費するエネルギーを補給できるよう、タンパク質と炭水化物を多く含む食事が理想です。

また、寒い環境では体を温めるために必要なエネルギーが増加するため、通常食としてだけではなく緊急食としても以下の3つの条件を満たすものを準備しておくと良いでしょう。

  1. 長い消費期限
  2. 凍結しない
  3. 高カロリー

一日中体を暖かく保つことこそが、寒い季節のアウトドアを安全に楽しむためのポイントです。コーヒーや紅茶、温かいスープなどで体を内側から暖めることを意識します。保温性の高い魔法瓶や、ヒートパックもあると重宝します。

服装の工夫

寒冷な状況下で暖かさを保つには、レイヤリング(重ね着)の概念を取り入れます。

  • ベースレイヤー(下着):メリノウール製のものが最適で、体温維持に役立つ
  • ミドルレイヤー:保温性のあるダウンベストやジャケット等
  • アウターレイヤー:風雨から身を守れるレインウエア等

さらに上記に、手指を保護する手袋、頭部を暖めるニット帽やビーニー、足元の暖かさを維持する厚手の靴下などを追加すれば、寒さから体をしっかりと保護できます。

冬のドライブを楽しむために

オーバーランディングは車両での長距離移動を伴うため、必然的に車内で過ごす時間が長くなります。そのため、適切な車両選びと運転技術が求められます。その点においては、4輪駆動車は頼もしい存在となり得ます。ただし、4輪駆動車だからと言って安心はできません。滑りやすい状況下では、運転に細心の注意を払う必要があります。

また、冬季は路面の凍結、落ち葉、積雪などに対する対策や、適切なタイヤ、チェーン選びなどが重要になります。オフロード用タイヤや、行き先に応じたタイヤチェーンの準備も考慮に入れておきましょう。

そのほか、積雪に対応するためのシャベルや、雪や泥などの柔らかい場所で立ち往生した際のリカバリーボードなど、緊急時の対応策や必要な準備をシミュレーションしてそろえておくと良いです。

遊びとサバイバルツールを兼用に

積雪がある地域に赴く場合には、雪の中を探索したり、ハイキングを楽しんだりするかもしれませんね。そんな遊び用のツールは、時にサバイバルツールとして役立つと認識しておくと、いざという時に味方になってくれるかもしれません。

たとえば、スノーシューはトレイルハイキングを楽しむのに最適ですが、同時に、緊急時に雪上の移動を安全で迅速に行うツールとしても役立ちます。ウォーキングポールに至っても、深い雪の中を探索して楽しむのに便利ですが、それにとどまらず、氷の安全性をテストしたり、雪の深さを測定したりするのにも利用できます。究極の状況下では、野生動物から身を守る道具としても使えます。

冬のオーバーランディングでは、あらゆる場面に対応できる装備や対応力が必要です。特に山岳地帯や標高が高い地域では、想定外のさまざまな状況に対して十分な備えをしておくことが求められます。

自然とのコミュニケーションを忘れずに

自然の中を冒険するときに覚えておきたいことがあります。それは、自然との対話です。周囲の風景や動物の気配、そして天候の変化に常に注意を払い、そこから発せられるメッセージを感じ取ることが冬のオーバーランディングを安全に楽しむ秘訣とも言えます。

自然がもたらす驚きや感動、そして時には困難に挑みながら冬のオーバーランディングを安全に楽しみましょう!

(参考)
https://www.overlanded.com/safely-overlanding-in-the-winter/
https://www.mortonsonthemove.com/overlanding-in-winter-snow/
https://www.outsideonline.com/outdoor-gear/cars-trucks/guide-to-winter-overlanding/

コメントを残す