なんだか最近良いアイデアが浮かばなーい!ってこと、ありませんか?
そんな時は、もしかしたら創造力が著しく低下しているのかもしれません。
創造力というとクリエイティブな仕事だけについてまわるものと考える人もいますが、そんなことはありません。いつもと違った新しいことを考える時や、直面する問題を解決する時など、どんな仕事でもさまざまな場面で創造力は必要とされます。また仕事にとどまらず、日々の生活や勉強、もちろん遊びにも必要な要素となります。
ところが、根を詰めすぎたり、考え込みすぎたりすると、脳みそのオーバーワークで創造する力が低下することがあります。神経を集中し過ぎたあとに思考がパタッと停止し、集中力がなくなり何一つ良いアイデアが浮かばないなんて経験、結構ありませんか?
そんな状態から自らを解放し、もう一度創造力を高めるためのヒントを与えてくれているのが、カンザス大学の心理学教授、Ruth Ann Atchleyさんらによって行われた研究結果です。スマホにタブレット、その他インターネットに接続できる機器類から離れ、自然にどっぷりとつかる生活をすると、3日目から創造力がアップするという効果がみられたそうなんです。
創造力がアップしたかどうかは、Remote Associates Test(リモート ・アソシエイツ・テスト)というもので測られ、IT機器から距離をおき自然のなかで生活した被験者たちは、このテストの成績がなんと50%以上もアップ!この結果に被験者の年齢は全く関係なく、18歳から60歳までの参加者全員に同じ効果が現れたといいます。
現代社会ではインターネットを含め多くのメディアから情報が否が応でも入り、そのなかには有害な刺激も含まれます。これらは私たちが本来持つポジティブな思考や創造力、人に対する優しさや寛容な心まで奪ってしまうことがありますが、自然には有害な刺激から私たちを解放してくれる力があります。だからこそ、時としてIT機器から一定の距離をおき自然のなかで過ごすことが、疲れた脳の休息とともに創造力のアップに役立つのです。
普段、仕事道具の一つとしてスマホやパソコンからなかなか離れられない人も数多くいると思います。そんな人こそ、意識的にスマホやタブレット、パソコンの電源を切りましょう。そして積極的にキャンプなどのアウトドアや旅行に出かけ、自然に触れる機会を増やしてみてください。頭のなかがスッキリとして、驚くほどすてきなアイデアやひらめきが次から次へと湧きでてくるかもしれませんよ!!
《参考URL》
Improving Creative Reasoning through Immersion in Natural Settings|PLOS
John Platt (意訳:菊地薫)
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう!」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。