日本には5つの自然遺産が登録されています。それぞれ豊かな自然環境と、その地域独自の特色があるのはご存じでしょうか。今回はSDGsのNo.11にある「世界遺産の保護」に注目し、日本の「小笠原諸島」についてご紹介したいと思います。

海洋島の希少な生態系

東京から1000kmほど南に離れた位置にある島々を小笠原諸島といいます。父島・母島といった大小30ほどの島があり、周辺の青く美しい海は「ボニンブルー」と呼ばれています。ボニンブルーとは小笠原諸島がかつて無人島だったため、その英名である「ボニンアイランズ」が由来です。

プレートの沈み込みから生まれた島々であり、はるか昔から隔離された状態で独自の自然環境が進化していきました。そのため小笠原諸島でしかみられない動植物が多数存在しており、とくにカタツムリなどの貝類は90%以上が固有種です。また現在でも小笠原諸島の生物進化は進行中です。

しかし人為的に持ち込まれた外来種により希少生物が捕食され、生態系の乱れが危険視されています。希少生物を守るため島の上陸時に外来種のまぎれ込みの確認や、防止柵の設置で外来種を捕獲するなどの保護管理を行っています。

小笠原諸島の評価ポイント

小笠原諸島の評価ポイントとして、自然遺産の登録条件の1つである「生態系」の項目があげられます。その豊富な固有種と、現在でも生物が進化を続けている点が価値のある地域だと認められました。そして小笠原諸島は2011年6月に日本で4番目の自然遺産として登録されました。

他の日本自然遺産との違い・共通点

日本には小笠原諸島の他にも「知床」「白神山地」「屋久島」「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が自然遺産として登録されています。知床、白神山地、屋久島は、小笠原諸島同様、登録条件である「生態系」の項目が評価されています。

そのなかでも小笠原諸島だけの違いとして、「島独自の希少性」が顕著にみられていると考えられます。陸続きになったことがない海洋島ということもあり、今まで人為的な干渉がとくに少なかった地域だといえるでしょう。そのため先ほど紹介した「豊富な固有種」や「進行中の生物進化」という希少性を生み出しているのではないかと思っています。

まとめ

自然遺産を知ることで、人類の干渉がどれほど自然環境に影響を及ぼしているのかが分かります。わたしたちも自然の大切さを学んで、環境にやさしい取り組みを行いたいですね。小笠原諸島を訪れた際は、なぜ自然遺産となったのか、その理由をあらためて考えてみましょう。

参考:環境省|日本の世界自然遺産|小笠原諸島

Nature Serviceが撮影した父島のドローン映像もぜひご覧下さい!

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