仕切りや壁がない、オープンプランのオフィスで働いている方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。従業員同士のコミュニケーションが向上する、開放感があるなどのメリットがある一方、人の会話が気になる、集中しづらいなどのデメリットを挙げる人も多くいるようです。

今回はこちらの記事から、オープンプランオフィスの「音にまつわる問題点」と「自然音の活用」についてご紹介しましょう。

オープンプランオフィスの音問題

仕切りや壁を作らず、必要な部分にはパーティション(間仕切り)を利用するオープンプランオフィス。従業員同士のコミュニケーションのとりやすさが強調される一方、周囲の人の会話や雑音が集中力をそぎ、結果的に労働者の生産性を落とすことがあります。

背景音の活用

そんな音問題の緩和に活用されているのがサウンドマスキングシステム。天井等に埋め込んだスピーカーから背景音(BGM)を流し、その音で人の話し声などをマスク(覆う)して聞こえにくくするというものです。”BGMを流す”というと、ついつい音楽を流すと思いがちですが、背景音は音楽とは限らず、信号音を使うことも多くあるようです。

過去40年、標準的なサウンドマスキングでは、「ホワイトノイズ」と呼ばれる電子雑音が使用されてきました。ホワイトノイズとは、「ザァー」や「サー」といった感じの雑音のことで、この音を流すと他人の会話や騒音などが聞こえにくくなるのです。また、オープンプランのオフィスでは、会話のプライバシーを問題視する声もあがっており、ホワイトノイズなどのマスキング信号を背景音として使えば、プライバシーの保護にもつながります。

背景音として自然の音を利用すると?

では、サウンドマスキングに長年使われてきた信号を自然の音に置き換えてみると一体どうなるのでしょうか?ニューヨークにあるRensselaer Polytechnic Instituteがおもしろい研究を行いました。

それによると、実験参加者12名は、以下の3つの環境下で集中力を要する作業を行ったそうです。

-「ホワイトノイズ」でオフィス内の音を聞こえにくくした環境
-「渓流の流水音を模倣した音」でオフィス内の音を聞こえにくくした環境
-「サウンドマスキングなし」の環境

その結果、「渓流の流水音を模倣した音」を利用した環境下では、実験参加者の気分が高まり、認知能力が向上したことが分かったそうです。つまり、マスキング信号に自然の音を使うことで、生産性のアップまでも見込めるということなのです。また、この方法は入院患者に対しても有効で、病室で長時間過ごさなければならない患者の気分を向上させることにも活用できるとしています。

ただし、注意しなければならないのは、自然音はあくまで背景音として利用するのであって、集中力が低下するほどの大音量で流すものではないという点です。通常は、サウンドマスキングシステムの専門家が、それぞれのオフィススペースに合わせて設置するものだそうです。

自然音を背景音にするだけで生産性がアップするとは、自然のちからは素晴らしいですね。まだまだ知られていない自然の活用法は他にもたくさんあるでしょうから、今後もさまざまな研究によって明らかになることを期待しましょう!!

《参考URL》
‘Natural’ sounds improve mood and productivity, study finds|EurekAlert!
(意訳:菊地薫)

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