厳しい寒さや大量の雪は交通機関の妨げになり、除雪作業をしなければならないなど私たちの生活にとって障害になることもあります。しかし、都市部から離れた山あいでは、このような厳しい寒さの中でしか見られない美しい自然現象が起こっているのです。

今回は厳しい寒さの中で見られる自然現象を3つ、どのような現象で、どのような条件で発生するのかなど、写真や解説を交えて紹介していきます。

しぶき氷

しぶき氷

何本ものつららが身を寄せ合いながら柱や壁を作っていきます。
まるで氷の彫刻のようで幻想的な風景ですね。

しぶき氷とは

湖水が水しぶきとなり岸辺の樹木や地面にかかって凍るという現象です。
強風によって波が立ち厳冬期でも凍らない湖水、波を荒立たせ水しぶきを飛ばすような強い風、樹木の枝にかかった水しぶきがすぐに凍ってしまうほどの寒さ、このような条件がそろうことで「しぶき氷」という現象が発生します。

しぶき氷がズラリ

国内では珍しい現象のようで、私が今回写真を撮った福島県猪苗代湖の他は、滋賀県琵琶湖で見ることができます。
先日私は初めてこのしぶき氷を見ました。

見た目は繊細で壊れやすそうですが、実際に触ってみると想像に反し硬く、ちょっとたたいたくらいではびくともしないほどがっしりとして、大きな氷のかたまりという印象でした。
以前に訪れたあぶくま洞の鍾乳石(しょうにゅうせき)を思わせるような手触りでした。

霧氷

霧氷

木の葉は一枚もありませんが、まるで真っ白な氷の葉が生い茂っているようですね。
透明なガラス細工を思わせる繊細で美しい自然現象です。

霧氷とは

木々の枝に霧や雲の水蒸気が付着し凍った現象。
霧や雲の水分は氷点下でも凍らないことがあります(過冷却状態といわれます)。
過冷却状態の水分は木々の枝にぶつかるなどの衝撃が加わると一気に凍り付き針のような形に結晶化します。

雲仙の霧氷

氷点下で、かつ湿度が高く(晴天続きでは霧氷は発生しません)過冷却状態の水分を多く含んだ霧や雲が発生し、木々に吹き付けるような強い風が吹くことで結晶化し霧氷になります。

まるでファンタジー映画に出てくる氷の世界のようですね。
青空を背景に霧氷を見るとCGで描かれたような繊細さと美しさがより一層際立ちます。

樹氷

樹氷

別名「スノーモンスター」とも呼ばれる樹氷。
すごい迫力ですね。

樹氷とは

過冷却状態の水分を含んだ霧や雲が、風によって木々に着氷します。吹雪がその隙間を埋めるように雪が付着していき、次第に硬くなる。
この一連の流れが繰り返されて怪獣のような大きさにまで成長します。
霧氷と同じく過冷却状態の水分が木々に付着する現象であり、樹氷は霧氷の一種であるとも言えます。

常に一定方向からの過冷却状態の水分を含んだ強風が吹いていること、木々が埋没してしまわない程度の積雪量があること、松などの常緑針葉樹(落葉広葉樹は秋に葉が紅葉とともに散り落ちてしまうため着雪しづらい)が生息していること。このような状況下で樹氷ができます。

宮城県と山形県の境である蔵王山の樹氷が有名で、日本以外ではドイツでしか見られない世界的に珍しい現象のようです。

この写真の樹氷はなんだかゴジラに見えませんか?

ゴジラ(?)のようなスノーモンスター

冬の小さな遠足

今回私は福島県の猪苗代湖に行ってしぶき氷の写真を撮ってきましたが、事前に場所を確認し目的地に向かう途中も小さな遠足のようで楽しいものでした。

道中の楽しみ

青空を背景に写真を撮りたいので天気予報をチェックしたり、防寒着を着込んで温かい飲み物とおやつを用意したり、どんな風景が見られるのかなどとワクワクしながら行ってきました。行き帰りも遠足に含まれるのですね。

たどり着いて見ることができたという達成感

初めて自分の目で見た時の「スゲー!」「何だこりゃ!」といった興奮や感動、触ってみた感触は楽しい経験になりました。
スマートフォンが一台あれば写真を撮ったりSNSに投稿したりと、誰かと共有することもできすてきな思い出になります。

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まとめ

今回は冬の自然現象3選ということで「しぶき氷」「霧氷」「樹氷」について書きましたがいかがでしたでしょうか。
自然が引き起こす現象や作り出すものは本当に奇跡的で芸術的なものが多いですね。
今回の記事をまとめます。

しぶき氷

湖水が水しぶきとなり岸辺の樹木や地面にかかって凍り何本ものつららが身を寄せ合いながら柱や壁を作っていくという現象です。
見た目に反し硬くがっしりとして鍾乳石を思わせるような手触りでした。

霧氷

氷点下でも凍らない過冷却状態の水分を含んだ霧や雲が木々の枝に付着し結晶化する現象。
ファンタジー映画に出てくる氷の世界のようで、木々の枝に真っ白な氷の葉が生い茂っているように見える繊細な美しさが魅力です。

樹氷

過冷却状態の水分と氷点下の吹雪による着雪が木々を覆い怪獣のような大きさにまで成長する現象です。
別名「スノーモンスター」とも呼ばれ圧倒的な迫力があります。

自分の目でその風景を見ることも達成感がありますが、こういった自然現象を見に行く際の計画や準備、目的地へ向かう途中も小さな遠足のように楽しいものです。
スマートフォンやデジタルカメラを持ってちょっとした遠足のように自然現象を見に行く計画を立ててみてはいかがでしょうか。

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