春から秋にかけて活動的になる”クマ”の存在、しっかりと意識していますか?
暖かい季節にハイキングやキャンプを楽しもうとする私たち人間と同じように、クマもこの季節は活動的です。今回はクマ対策について、「BEAR SAFETY FOR HIKERS, CAMPERS AND BACKPACKERS」を参考に考えてみたいと思います。
ハイキング/キャンプ共通の留意事項
ハイキング、キャンプともに、下記点に留意しましょう。
- 出発前に、これから訪れる場所の情報をホームページなどで必ずチェック。
- クマの出没情報(特に、攻撃性が高い、もしくは子連れといった情報)がある場合には、十分な対策をして向かうか、行先の変更を検討する。
- 食べこぼしや生ごみを放置せず、完全に片付ける。食べ残しなどを持ち歩く場合は、匂いがしないようにきっちりとくるむ。
ハイキング時の注意!
たとえ、クマの出没情報がなかったとしても、ハイキング中は自分の存在をクマに知らせるために、同行者と話しをしたり、歌うなどしたりして、音を立てながら行動することが大切です。また、単独よりなるべく複数で行動することを心がけ、クマ避けスプレーを常に手の届くところに準備しておきましょう。
キャンプ時の注意!
キャンプの際に注意しなければならないのは、食べ物の保管方法。車がある/なしによってその方法は異なります。
- 車がある場合(ドライブインキャンプ)
キャンプサイトから離れる場合や夜間には、すべての食べ物、調理器具は車のなかに保管。テント内には水以外の飲み物/食べ物は持ち込まない。 - 車がない場合
1.寝る場所、2.調理場所、3.食べ物の保管場所の3箇所を決め、一辺が約100メートルの三角形を描くように設置。(こちらの絵を参照)
車がない場合の食べ物の保管方法はさらに注意が必要で、下記のような対策をとる必要があります。
- 備え付けのクマ対策用フードコンテナ(フードロッカー)がある場合はそれを利用する。
- フードコンテナが設置されていない場合には食料を保存袋に入れて木に吊るす。(こちらのページ中ほどを参照)
アメリカの国立公園では、クマ対策用に携帯型フードコンテナの利用を推奨している場所もあります。ただし、携帯型フードコンテナは重い上にかさばりますので、備え付けのフードコンテナがない/吊るすのが面倒/頻繁にキャンプに行く、といった条件が重なった場合に購入を検討する方が良いかもしれません。
また、料理と食事は、なるべくテントから離れた場所で済ますようにし、キャンプサイトは常に清潔にしておくことを心がけます。
それでも遭遇してしまったら?
色々と対策をしても、クマとの遭遇をゼロすることはできません。万が一遭遇した場合の注意点についても確認しておきましょう。
- 遠くからでもクマを見かけた場合には、すぐに立ち去る準備をする。
- クマ避けスプレーの安全装置を外して備える。
- 走らない。木に登らない。(人よりクマの方が得意。)
さらに、以下のような点も知っておきましょう。
- 遭遇した場合は、ゆっくりと後ずさりをする。
- 死んだふりはしない。(ツキノワグマの場合は死肉も食べるので、死んだふりをしてもエサにしか見えない。ただし、グリズリー・ベアには有効なこともある。)
ちなみに、日本にいるクマの種類はというと、本州から九州にはツキノワグマがおり、北海道にだけはヒグマが生息しているそうです。
関連記事:世界自然遺産の知床五湖!景色を楽しみながらヒグマについて知るきっかけを。
いずれにしても、ハイキングやキャンプを楽しむためには、クマに遭遇しないのが一番です。事前に情報を入手し、自然の中を歩く際には音を出す、食べ物の匂いでクマを引き寄せない、といったところに注意をして行動しましょう!
関連記事:その子熊はなぜ駆除されなければならなかったのか?~クマ対策とともに考える~
《参考URL》
BEAR SAFETY|HAPPIEST OUTDOORS
TARYN EYTON(意訳:菊地薫)
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう!」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。
1件のコメント