2019年3月、全国紙およびオンラインニュースに、「自然環境でのリモートワークに生産性向上の効果があることを示唆」の見出しが躍りました。
これはNature Serviceが長野県信濃町を舞台に行った実証実験「なぜ、自然の 近くでテレワークすることにより生産性が向上するのか?」の最終報告会を取り上げていただいたものです。
なぜ、自然の近くでテレワークすることにより生産性が向上するのか?」大盛況で終了


さて、ビジネスパーソンの方なら当たり前のように口にしているはずの「生産性」という言葉。
昨今のビジネスシーンで重要視されているのはご承知の通りですが、実は「生産性」という言葉には明確な定義はなく、それぞれの会社が独自の指標を設定し、計測しているのが現状です。
私たちNature Serviceは、自然に囲まれた環境が生産性にもたらす影響を解き明かすべく、まずは生産性の定義を整理することから実証実験をスタートさせました。

生産諸要素がどれだけ効果的に使われているか

最初に参考にさせていただいたのが公的機関による見解です。
「生産性向上対策について」の閣議決定(1954年)に基づき、1955年3月1日に設立された財団法人日本生産性本部を母体に発足した公益財団法人日本生産性本部は「生産性」を以下のように説明しています。

有形のものであっても無形のものであっても、何かを生産する場合には、機械設備や土地、建物、エネルギー、さらには原材料などが必要になります。また、実際にこれらの設備を操作する人間も欠くことができません。生産を行うために必要となるこれらのものを生産要素といいますが、生産性とはこのような生産要素を投入することによって得られる産出物(製品・サービスなどの生産物/産出)との相対的な割合のことをいいます。
式で表せば、

生産性=産出(output)/投入(input)

ということになります。

次に参考にしたのは専門家による見解です。
2017年に発売され10万部を超えるセールスを記録した「生産性(伊賀 泰代 著 )」では、以下のように説明しています。

生産性は「成果物」と、その成果物を獲得するために「投入された資源量」の比率として計算されます。「アウトプット」/「インプット」といっても良いでしょう。(中略)生産性は「成果」/「投入資源」という割り算で計算されます。

つまり公的機関も専門家も同様に、生産性とは、あるモノをつくるにあたり、投入資源がどれだけ効果的に使われたかということであり、それを割合で示したものが「生産性」であると定義していました。
続いて、生産性を上げるためにはどのような方法があると考えられているのでしょうか?

生産性向上のための4つのアプローチ

先述の生産性を表す式、
生産性=アウトプット(成果)/インプット(投入資源)
をもとに生産性を高める方法を考えると、答えは次の2通りです。
・アウトプットを大きくする
・インプットを小さくする
さらにそれぞれを達成するための手段には、イノベーション(革新)とインプルーブメント(改善)の2つのアプローチがあると「生産性」の著者伊賀氏はいいます。

1)改善=インプルーブメントにより、投入資源を小さくする
2)革新=イノベーションより、投入資源を小さくする
3)改善=インプルーブメントにより、成果を大きくする
4)革新=イノベーションにより、成果を大きくする


図1-1. 生産性を意識すべき分野の広がり(伊賀 泰代著『生産性』より)

伊賀氏は、上記のように生産性向上のアプローチを4分類(図1-1参照)で説明したことで、多くの日本企業が生産性向上という言葉から連想しやすい「コスト削減」以外の視点を提示しています。

私たちNature Serviceもこの4つのアプローチから自然に囲まれた環境が生産性にもたらす影響を検証していった結果、自然活用は、人事部門が抱える課題「プレゼンティーイズム」に寄与できる可能性があることを見出しました。

関連記事:生産性とは何か?(後編) 〜人事関係者の難敵「プレゼンティーイズム」〜

信濃町ノマドワークセンター

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