森林や、木でできた家の中に入ると木特有のいい香りがして落ち着きますよね。私も木の香りは大好きで、ヒノキの香りのアロマオイルを焚いてくつろぐことが日課です。そんな木の香りですが、人にリラックス効果をもたらす「フィトンチッド」と呼ばれる物質が含まれていることをご存知でしょうか。

森林中の空気に含まれるフィトンチッド

フィトンチッドとは、木が虫や細菌から身を守るために自ら作り出して周囲に放つ物質のことです。ロシアのB.P.トーキン博士が、植物を傷つけるとその周りにある細菌が死ぬという現象を発見し、「phyton(植物)」と「cide(殺す)」という言葉を組み合わせ、木から放たれる物質名を「フィトンチッド」と名付けました。森林内では100種類以上のフィトンチッドが検出され、α-ピネンリモネンが主要成分となっています。

フィトンチッドの研究

フィトンチッドは、単独でも人にリラックス効果をもたらすことができるのかについて、研究が行われました。フィトンチッドを吸入した人には、収縮期血圧の低下が認められています。また、スギやヒバ材チップの香り物質に対しても、脳活動が有意に鎮静化することが確認されたことから、木の香りにはリラックス効果があると言えます。

フィトンチッドの効果を得るには森林浴がおすすめ

森林内と都心部において、人の気分を測定するPOMSというアンケートを用いて測定した結果、森林浴後、森林内では都心部と比べて「緊張」や「疲労」などの負の感情が緩和され、「活気」などの正の感情が高まっていたという研究結果が存在します。フィトンチッドにはうつの緩和や活力の回復などの効果があり、人に生理的リラックス効果や癒やし効果をもたらします。

pieonaneによるPixabayからの画像

森林浴をして、フィトンチッドの恩恵を受けよう!

ストレス社会と揶揄される現代の日本では、日頃から様々なストレスに晒されて生活しなくてはなりません。そのため、うつ病などの精神病にかかる確率も高くなっています。休日も、心身ともに疲れ切ってしまって何もしたくないという方、いらっしゃるのではないでしょうか。

過酷な山登りだったり、長時間歩き続けてしんどい思いをしたりする場所ではなく、自分のペースでゆっくりと森林の風景や音、香りに五感を傾ける場所がおすすめです。思い切って森林浴に出かけてみると、フィトンチッドによるリラックス効果で心が癒やされますよ。

日々の生活で心が疲れ切ってしまっている方は、ぜひ森林浴に行って、フィトンチッドの恩恵を受けてみてはいかがでしょうか?

(参考文献)
フィトンチッドの様々な効果について
自然セラピーの予防医学的効果
リラックスする木の香り

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