初めてのソロキャンプやすらぎの森オートキャンプ場で体験していた際、そこで出会った方に、焚き火についてしっかりとレクチャーをしていただきました。キャンプブームだからこそ、今回はあらためて「焚き火」について考えたいと思います。

キャンプ=焚き火OKとは限らない

大前提として、キャンプに行けばどこでも焚き火が可能なわけではありません。焚き火そのものが禁止されている場合は言うまでもなくできません。焚き火が可能な場合でも、直火(地面に薪を置いて直接火をつけること)がOKな場合と「焚き火台」がないとできない場合があります。

やすらぎの森オートキャンプ場の場合は、焚き火はOKですが焚き火台を用意する必要があります。(数に限りはありますがレンタル有。)

スギとナラの違い

次に、何を燃やすのかという点ですが、基本的にはキャンプ場に用意されている薪を購入するのが無難です。落ちている木々を拾って焚き火の燃料にするのは、乾燥具合や木の種類などにある程度精通している必要があるので、初心者の方にはおすすめしません。

やすらぎの森オートキャンプ場では、「スギ」と「ナラ」の薪を販売しています。両者の違いは以下の通りです。

スギ針葉樹火がつきやすい(序盤に使う)燃焼時間が短い
ナラ広葉樹火がつきにくい(中盤以降に使う)燃焼時間が長め

この2つの使い分けですが、まず火がつきやすい「スギ」から焚き火を開始し、全体に火が回ったら「ナラ」を追加し、ゆっくりと燃やしながら焚き火を楽しむのがおすすめです。ただし、1泊2日の滞在で、スギとナラを1束ずつ購入すると余る可能性があります。短期滞在で初心者の場合にはスギのみをおすすめします。

実際の焚き火の進め方

今回は、スギとナラの両方があったため、スギから開始してナラに移行するまでの流れを見ていきましょう。

焚き火用の薪
薪は太い木と細い木が組み合わさって1束になっている。中心から抜くと取り出しやすい。

落ちている枯れ草(着火剤で代用可)などを空気が入るようにふんわりと置きます。

焚き火台に置いた枯れ草
枯れ草は乾燥していることが前提。空気が入るようにふんわりと置く。

その上にスギを並べますが、ポイントは「枯れ草がつぶれないように薪を並べること」と「火がつきやすい細い薪を使うこと」です。

枯れ草と薪
細い薪から置く

枯れ草(もしくは着火剤)に火をつけ、全体に火が回るのを待ちます。

火のついた枯れ草
乾燥している枯れ草には、あっという間に火が回る。

全体に火が回ったのを確認したら、少しずつ太い薪へと移行しながら追加していきます。太いスギを追加して火が安定すると、ようやくここで一息つけます。スギは火がつきやすく焚き火初心者にはありがたい存在ですが、薪の追加のタイミングや置き方のコツをつかむまで無駄な動きを繰り返し、少々忙しい思いをしました。

そして、ここでようやく「ナラ」の登場です!スギと同じように細めのナラからくべるのかと思いきや、火が安定していたこともあり、少し太めのナラをくべても大丈夫とのこと。

炎をあげる焚き火
この日はほぼ無風。炎がほぼ真上にのぼり、きれいだなと思わずつぶやく。

実際にナラを投入すると、明らかに火のつきが遅く、確かに序盤には不向きであることがよくわかりました。ですが、ナラは一度火が入れば炎を揺らめかしながらゆっくりと燃えるので、のんびりと焚き火を楽しむことに集中できます。

永遠にながめていたい焚き火ですが、就寝前までには燃やし切らなければなりません。(水をかけると灰が舞い、大量の煙も発生するので極力避けます。)就寝の2時間くらい前から新しい薪を追加せず、既にくべた薪が燃え尽きるように木の位置や向きを時折変えながらしっかりと燃やし切りましょう。

焚き火後
きれいに燃やし切るとこうなる。

焚き火の注意点

焚き火台を使っていても、下に生えている芝や草を真っ黒に焦がしているケースがしばしば見られます。「購入した薪が余りそう、でも自宅には持って帰りたくない」という場合に薪を使い切ろうとし、その結果、火力が強すぎて草にまで影響を及ぼしていることがあります。

特に秋になり枯れ草になってくると、焚き火の最中に草が燃えることもあるので注意が必要です。薪が余り持ち帰りたくない場合は、無理にすべてを燃やそうとはせずキャンプ場のスタッフに一声かけてくださいね。

また最近は、使い勝手の良いナイロン製の軍手が多く販売されていますが、焚き火をする際には必ず綿でできた軍手を使用しましょう。ナイロン製は熱で溶けると火傷をする可能性があります。

1人で焚き火を試した結果

せっかく教えてもらった焚き火。翌日、1人で試しました。寝るまでにそんなに時間がなかったため「スギ」のみ利用。前日、教えてもらいながら実践していたときには「うんうん、こんな感じね。」とできたのに、1人でやると火が全体にうまく回りません。

炎をあげるスギ
太い薪の投入が早すぎたと反省。

つまり、薪の置き方が悪かったり、太い薪を置くタイミングが早すぎたりしたのです。四苦八苦しながら炎がようやく安定し、途中から椅子に座ることができました。

焚き火台で燃える薪
前日とは違い、やや不格好なのは否めない。

時折「パチッ・・・・・・パチッ・・・・・・」と聞こえる程度で、静寂と炎に身を委ねるようにひとときを楽しむ……つもりだったのです。が、真っ暗闇の中に、自分が起こした焚き火の炎だけが浮かび上がっているのをながめているうちに、「この火の責任は自分一人が負っている」ということに気がつきました。

周囲は森で、見渡しても誰もいません。突風が吹いて、あちらこちらに飛び火したらどうしようなどと思い始めた途端、急に少し怖くなりました。人工的な音は何一つ聞こえず、とてもぜいたくな時間なんですよ。ですけどね、なにぶんキャンプ初心者なもので……。

ただ、この”怖い”という感覚、火を扱う以上は、この先絶対に忘れてはならないものだと心に刻みました。

焚き火の燃え残り
燃やし切ったと思っていたが、少し木が残っている。

焚き火についてレクチャーしてくれた方から聞きましたが、焚き火のやり方は実は千差万別で、これが正解というのはないのだそうです。ですが、共通して言えるのは、他の人に迷惑をかけない、自然に極力影響を与えない、ということ。この2つは守る必要があります。

焚き火は、木を燃やすというシンプルな行為ですが、ほんの数時間焚き火の話しを聞いただけでも奥が深いことがわかり、季節や天候、焚き火をする場所によって学ぶべきスキルが山ほどあることに気がつきました。

キャンプ初心者にとっては、キャンプ中にやることなすことすべてが真新しく、中々細かな点にまで目を配る余裕がありません。ですが、他の人に迷惑をかけていないかな、自然に配慮しているかなという観点から焚き火を考え、今後も楽しんではいかがでしょうか。

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