みなさんは日本に5つの自然遺産が登録されているのをご存じですか?自然遺産には豊かな環境だけではなく、それが形成されるまでの長い歴史があります。今回はSDGsのNo.11にある「世界遺産の保護」に注目し、日本の「白神山地」についてご紹介したいと思います。

東アジア最大のブナ林

青森県南西部と秋田県北西部の境にある山岳地帯のことを白神山地と呼び、そこには東アジア最大級のブナ林が広がっています。氷河期の時代、北極周辺に分布していたブナ林が寒冷化の影響で少しずつ南下をはじめました。その結果ブナ林が日本に移動してきたといわれています。人為的な影響をほとんど受けておらず、北極周辺の植生と変わらない原始的な状態を維持していることが特徴です。

白神山地には500種類を超える植物や希少な生物が多数生息しており、豊かな生態系を形成しています。この自然環境を乱さないために、関係者による定期巡回やモニタリング調査を行い、白神山地の保全に取り組んでいます。

白神山地の評価ポイント

そんな自然遺産である白神山地の評価ポイントは「豊かな生態系」という点です。自然遺産の登録条件には以下の4つの評価基準があり、そのうちの1つ以上を満たす必要があります。

  • 自然美
  • 地形・地質
  • 生態系
  • 生物多様性

白神山地は評価項目の1つである「生態系」の基準を満たしています。この原始的なブナ林を中心とした自然環境は、世界全体からみても非常に貴重な地域であると認められました。そして白神山地は1993年12月に日本で最初の自然遺産として登録されました。これは日本が自然を守る取り組みを広げたきっかけの1つともいえるでしょう。

他の日本自然遺産との違い・共通点

日本の自然遺産には白神山地の他に、「知床」「小笠原諸島」「屋久島」「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が登録されています。「知床」「小笠原諸島」「屋久島」との共通点は、いずれも評価基準の1つである「生態系」の項目を満たしていることがあげられます。

そのなかでも白神山地と他の自然遺産との違いには、「歴史の長さ」があるのではないかと思います。氷河期という数千万年も昔から生育していたブナ林が、そのままの姿で現代を生きている。それを考えると、途方もない時間であることがわかります。もちろん他の自然遺産にも長い歴史がありますので、そのルーツをたどってみるのも面白いかもしれません。

まとめ

悠久の時を経た自然でさえ、壊すことは簡単です。だからこそわたしたちは貴重な自然を守らなければいけません。白神山地を観光する際は、なぜこの地域が自然遺産に登録されたのかを理解したうえで訪れてみてください。もしかしたらいつもと違った風景を感じられるかもしれませんよ。

参考:環境省|日本の世界自然遺産|白神山地

自然の価値を映像を通して世に広め、利用していただくことを目的としているNature Service Archivesの白神山地の映像です。(利用に関する詳細は、 Nature Service Archivesのページからご確認下さい。)白神山地をぜひ上空からご覧下さい。

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