世界自然遺産に登録されている地域は自然環境が豊かなだけではありません。見た人が息を呑むような自然の美しさも味わうことができます。今回は日本の自然遺産「屋久島」について、SDGsのNo.11にある「世界遺産の保護」の視点でご紹介したいと思います。

特殊な生態系と幻想的な景観に包まれた島

鹿児島から南に約60km離れた位置にある島を屋久島といいます。屋久島には最大で約2000mもある山岳が連なっており、この地形特有の気候が形成されています。そのため島のなかでは、九州から北海道までの自然植生がみられるんです。南北地域の生態系が標高に応じて変化するそのさまは、まさに「日本の縮図」といっても過言ではありません。

また屋久島の年間降水量は、日本の年間平均降水量をはるかに超えています。その湿潤な気候に適応した「ヤクスギ」による、幻想的で美しい森林景観を見せているのも特徴の1つです。とくに樹齢が数千年といわれている縄文杉が有名ですよね。

この屋久島の自然を守るため、野生動物であるヤクシカや急増した登山者の影響を防ぐ取り組みを実施しています。ヤクシカによる希少な植物の食害が広がらないように個体数の管理を行い、生態系の維持に努めています。自然遺産として登録後、登山者の数が急増しました。登山者による登山道の荒廃を防ぐために、施設の整備やマイカーの規制といった環境保全対策を行っています。

屋久島の評価ポイント

屋久島の評価ポイントとして、自然遺産の登録に必要な4つの条件のうち「自然美」「生態系」の2点があげられます。長い年月をかけたヤクスギの景観と、南北の気候を網羅した幅広い生態系が評価されました。その結果1993年12月に「白神山地」とともに、日本で最初の世界自然遺産として登録されました。

他の日本自然遺産との違い・共通点

日本の自然文化遺産は全部で5件登録されており、屋久島の他に「知床」「白神山地」「小笠原諸島」「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」があります。知床、白神山地、小笠原諸島同様、登録条件である「生態系」の項目が評価されています。

さらに屋久島は他の自然遺産と違って、登録条件の「自然美」が唯一含まれている地域です。希少な生態系だけでなく、巨大なヤクスギによる幻想的な美しさも兼ね備えている点が、屋久島の最大の魅力といえるでしょう。

まとめ

屋久島のような美しい自然環境は、一朝一夕で生み出されたものではありません。わたしたちは長い年月をかけて作られた自然を壊さないように、保護に取り組む必要があります。屋久島を観光する際は、自然遺産である理由を考えたうえで訪れてみてください。

環境省|日本の世界自然遺産|屋久島

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