海を眺めると気持ちが落ち着いたり、小川のせせらぎに心がやわらいだり、お風呂に入るとほっとしたり。そんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。これらの共通点はなんだかわかりますか。
どれも私たちが水に触れたり、水を感じたりしていることです。水は、私たちに心地よさや落ち着きをもたらす存在として、昔から親しまれてきました。
アメリカの海洋生物学者ウォレス・J・ニコルズは、水と人の心身の関係に注目し、その感覚を説明する言葉として “ブルーマインド” という概念を広めました。2014年には著書『Blue Mind』を出版し、この本はアメリカでナショナル・ベストセラーとして紹介されています。
今回は、「Blue Mind Theory And It’s Benefits」と「Blue mind」の記事を参考に、ニコルズ博士の考え方や、海や川、湖などの水辺と私たちとの関係性をご紹介します。
「ブルーマインド(青い心)」とは
ブルーマインドは、水辺にいるときに感じやすい穏やかで落ち着いた心の状態を表す言葉です。
この言葉は、ストレスや過剰な刺激にさらされた状態を指す 「レッドマインド」 との対比で語られることがあります。アメリカの神経科学者であるキャサリン・フランセン博士は、ストレスや不安、怒りなどが高まった状態を「レッドマインド」と表現しています。
これに対して 、「水」は平和で幸福感に包まれた穏やかな感情、つまり「レッドマインド」とは逆の感情を引き出すことから、ニコルズ博士がこのような穏やかな心の状態を表す言葉として「ブルーマインド」を用い、広めました。
ブルーマインドは、水辺で感じやすい穏やかな心の状態を表す言葉として広まり、日々の忙しさや情報過多で頭がいっぱいになりがちな現代において、水辺で「静かになれる感覚」を表す言葉として、多くの人に共有されています。
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ブルーマインドの考え方
「ブルーマインド」では、水辺が人の気分や心の状態に影響する理由を、さまざまな角度から考えます。そのうちの一つに「水がもたらす安心感」があります。「水」を見たり、音を聞いたりすることで、安心感や落ち着きにつながるのではないか、という見方があります。
実際、海や川、湖などの青い空間(blue spaces)とメンタルヘルスの関係を調べた研究では、水辺への接触がストレスの軽減や主観的ウェルビーイングの向上と関連する可能性が示されています。
人は母親のお腹の中にいる時から羊水という水の中で過ごしています。また、成人の体の約60%は水でできており、脳は75%が水だとされています。人の体にとって「水」は命を育む不可欠なもの。その「水」を近くに感じることで、安心感を覚える人がいるのかもしれません。
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「ブルーマインド」と「レッドマインド」のバランス
また、「水」は静けさと変化の両方をあわせ持つ存在で、そのことが心の落ち着きと適度な刺激の両方につながるとも考えられています。たとえば、穏やかな海を思い浮かべてみてください。景色そのものは静かでも、波が揺れたり、岩に当たる音が聞こえたり、海鳥が通り過ぎたりと、小さな動きがあります。こうした安定感とほどよい変化が、人にとって心地よい要素になりうるのです。
穏やかな環境は、ブルーマインドと呼ばれるような落ち着いた状態を感じやすくすることがあります。一方で、刺激や変化が強すぎると、緊張やストレスが高まり、レッドマインドに近い状態になることもあります。
ただし、私たちにとって緊張やストレスが不要というわけではありません。そうした反応は、負担や危険に気づき、状況に対応するために必要な面もあります。
大切なのは、ブルーマインドとレッドマインドのどちらか一方ではなく、そのバランスです。静けさとほどよい変化をあわせ持つ「水辺」は、そのバランスを整える助けになることがあるのです。
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まとめ
ニコルズ博士は、水のそばにいることや、水に親しむ時間が、人の心身に良い影響をもたらす可能性に注目していました。海に入る、川沿いを歩く、湖を眺める、あるいは水音を聞く。そうした時間が、気分の切り替えや心の落ち着きにつながる可能性があります。
水が好きな人は、無理のない範囲で泳いだり、水辺を散歩したりしてみるのもよいでしょう。水に入るのが苦手な人は、海や川、湖の景色を眺めてみてください。
そして、「ブルーマインド」を感じてみてください。
(参考)
Blue Mind Theory And It’s Benefits
Blue mind


旅行と自然が大好きで、ふらっと国内外の旅に出かけます。田舎、都会、海外、どこでもたくましく過ごせるのが特技。美しい自然や人との出会いを求めて「次はどこへ?」と心が騒ぐ、旅心と好奇心が止まらない50代です。