「なぜ人は自然を守る必要があるのか。」ふとそんな素朴な疑問をもち、イギリスでの取り組みも参考にしながら、実際に自然体験をしてみて感じた自然の大切さについて考えてみました。

ボランティアが支えるイギリスのナショナル・トラスト

イギリスでは歴史的資産や、自然景勝地を守るためにナショナル・トラストという団体があります。その歴史は長く、1895年に設立され、2020年時点で5万3000人をこえるボランティアによって支えられているそうです。

誰でも、寄付をして木を植えることや、施設の運営を手伝うことができます。また、会員になれば年会費は必要ですが、500カ所以上の公園や大きな庭園のあるお城などの場所に無料で入場することが可能なので、さまざまな場所をめぐって楽しむことができます。

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イギリスではなぜたくさんの人が自然を愛し、守り続けるのか

それを体感するため、イギリス北西部にあるヨークシャーデイルズへハイキングへ行ってみました。湖水地方から東に位置し、一部はナショナル・トラストによって保護されています。日本では湖水地方が有名ですが、このヨークシャーデイルズも自然を満喫できる場所です。

マルハムというところでは約2時間半のハイキングを楽しむことができ、石灰岩の断崖に登って崖下やその先の自然の景色を眺めることができます。丘の間を歩き、滝や巨大な岩場を眺め、なだらかな丘を登りながら断崖の頂上を目指します。歩くすぐそばには羊の群れがいて、メエメエと会話しているような様子がみられたり、フンがところどころに落ちていたりしました。

また、牛の群れもいて、まるで仲間たちで団らんしているようでした。なぜこんなにも身近に感じるのか。なぜならその動物たちのまわりにはロープがないのです。触れられる距離まで近寄ってきたりもします。その瞬間に不思議なほど、自然の中にお邪魔しているのは自分たちなんだという気持ちになりました。人間と自然、ではなく、人間も自然の一部なのだと感じたのです。

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身近に感じる自然や動物たち

そういえばイギリスでは車を走らせていても、馬や羊、牛をよく見かけます。馬を飼う人も多いので、近くの公園などにも馬小屋があったりと、いつでも会いに行くことができます。大きな公園や緑道も多く、毎日の散歩ではリードを外した犬たちがものすごい勢いでかけ回っています。その姿を見ればどれだけ自然を愛しているかは一目瞭然です。

なぜ自然を大切にするのか。それは人間も自然の一部だから、と私は考えました。だから自然の中にいると安心するし、ずっと守っていく必要があるのではないか。忙しい毎日の中で忘れてしまいがちですが、ぜひ自然体験を通して、自然の一部である自分を感じてみるのはいかがでしょうか。

(参照URL)
https://en.wikipedia.org/wiki/National_Trust
https://www.nationaltrust.org.uk/yorkshire-dales

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