なかなか寝付けない、寝てもすぐに目が覚めてしまうといった睡眠障害が、年々増えています。原因の一つとして挙げられるのが、電気照明やスマートフォン、テレビといった電子機器の使用です。夜になっても街や家の中は明るく、人工的な光に晒されていることが生活リズムを乱してしまっているのです。

そんな睡眠障害が、週末にキャンプをすることによって改善されるという研究結果があります。今回は「Circadian Entrainment to the Natural Light-Dark Cycle across Seasons and the Weekend」の記事を参考に、睡眠とキャンプとの興味深い関係を紹介します。

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研究方法

米国コロラド大学のケネス・ライト教授らは、週末を電気照明の下で過ごした場合と、自然の光の下で過ごした場合とで、睡眠にどのような影響があるかを以下のような方法で調査しました。

平均年齢30歳前後の女性14名のうち、9名はロッキー山脈でキャンプを、5名はいつも通り自宅で週末を過ごしてもらいました。キャンプをしたグループは、懐中電灯とヘッドランプの使用のみ許可され、スマートフォンやパソコンなどの電子機器は使用不可とされました。

研究結果

それぞれの週末を過ごしたのち睡眠時間を調べたところ、自宅で過ごしたグループのほうがキャンプをしたグループよりも睡眠開始時間が1.8時間遅く、また起床時間も1.5時間遅いことがわかりました。つまり、自宅で過ごしたグループは遅寝遅起きに、キャンプをしたグループは早寝早起きになったのです。

また、メラトニンの分泌時間についても調べました。メラトニンとは、体内時計を調整する役割を持つホルモンで、暗くなると分泌されて眠気を促します。このメラトニンが分泌され始める時間が、キャンプをしたグループは通常の生活をしていたときよりも1.4時間早くなることがわかりました。一方で、電気照明の下で過ごしたグループは、1時間程度遅くなりました。

これは、週末に自然光を浴びたグループは体内時計が正しく調整されたが、週末も電気照明や電子機器を使っていたグループは体内時計がさらに遅れてしまったことを示しています。

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示唆

ライト教授らは、現代社会では「社会的時差ボケ」が生じていると述べています。社会的時差ボケとは、自然界と現代社会の朝と夜のリズムがずれてしまっているということです。

現代社会では、電気照明や電子機器を使うことでいつまでも明るく、そして活動できる時間を作ることができてしまいます。しかし、それは自然界の朝夜のサイクルとは異なります。また、自然界では夏と冬では日の出や日没の時間が異なり、本来なら人間もその変化に合わせて体内時計を調節するのですが、これも電気照明や電子機器に阻まれてしまっています。

このようなことが現代社会で睡眠障害の人が増加する背景にあるのですが、ライト教授らの研究では週末にキャンプをして自然の光の下で過ごすだけでも、社会的時差ボケが改善されることがわかりました。

まとめ

最近どうも眠れないという人は、週末に照明、テレビ、ゲームといった人工的な光を浴びすぎて体内時計が狂っているのかもしれません。たまには週末にキャンプに行って、自然の光と自然の時間の流れの中で過ごしてみてはいかがでしょうか。ただし、スマートフォンを持っておくことは安全面では大切です。そっとリュックの中に入れておきましょう。

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(参考)
Circadian Entrainment to the Natural Light-Dark Cycle across Seasons and the Weekend

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