地球環境を守ろうという人々の意識の高まりとともに、企業や組織も環境に配慮した製品やサービスを開発するなど、さまざまな取り組みを行っています。素晴らしい取り組みも数多くありますが、残念ながらすべてが真実なわけではありません。 

「環境にやさしい」「持続可能」といった言葉を使ってはいるものの、その実態は異なるという事例も多数指摘されているのが現実です。このような見せかけの環境保全は「グリーンウォッシング」と言われ、注意が呼びかけられています。 

今回は「What is Greenwashing?」と「Greenwashing: What Is It and How to Avoid It」の記事を参考に、「グリーンウォッシング」の意味や事例をご紹介します。

グリーンウォッシングとは

「グリーンウォッシング」は、「ホワイトウォッシング=ごまかし、きれいごと」という言葉を元にして作られました。企業や組織が「これは環境にやさしい」と宣伝をしていても、実は上辺だけで内実が伴っていない、ただのごまかしを意味しています。

この言葉は、1980年代半ばに米国の環境活動家であるジェイ・ウェステルフェルト氏によって生み出されました。

南太平洋のあるホテルに泊まった際、部屋に次のようなことが書かれたカードが置かれていました。「毎日、数百万リットルの水が一度しか使用されていないタオルを洗うために使用されています。タオルの再利用にご協力ください。地球の大切な資源を守る活動へのご協力に感謝します」。

このカードを見たウェステルフェルト氏は、強い違和感を覚えました。なぜならこのホテルではさまざまな資源が浪費され、深刻な環境汚染も犯していたからです。このカードは環境を保護しようとするのではなく、ただ洗濯(ウォッシング)に必要なお金を節約しようとしているだけだと感じたウェステルフェルト氏は「グリーンウォッシング」という言葉を使って、このことを批判したのです。

グリーンウォッシングの事例

ホテルのタオルの事例以外に、どのようなグリーンウォッシングが存在するのでしょうか。いくつか紹介します。

ある大手ファストフード店では、すべての店舗でプラスチック製のストローを「より環境にやさしい」紙製にすることを推し進めました。しかし、導入された紙製のストローは強度を高めるために厚くした結果、厚すぎてリサイクルができないということで一般ゴミとして捨てられていました。

また、ある世界的に有名な自動車メーカーでは、排出ガスを低減した「よりクリーンな車」を発売しました。しかし、排出ガスを抑える装置は試験走行の時にだけ作動し、実際の走行では作動しないものでした。そのため排出ガスの量は法的制限をはるかに超えるもので1,000万台以上がリコールされることになりました。

まとめ

「環境にやさしい」「持続可能」「エコ」といった言葉は、企業や製品のイメージアップにつながるため頻繁に使われるようになりました。しかし、単なる宣伝文句でしかなく、内実を伴わないものも横行しています。

私たち消費者は聞こえの良い言葉を安易に信じるのではなく、環境保全を目指した本物の製品・サービス・取り組みであるかを見極めていく必要があります。

(参考)
What is Greenwashing?
Greenwashing: What Is It and How to Avoid It

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