年を取ることは避けられませんし、身体や免疫の機能が衰えるのも致し方ありません。でも、「もうだめだ…」「何もできない…」とネガティブな老後を送りたくはないですよね。そうならないための簡単な方法があるんです。それは、屋外で過ごすこと。年を取ってからも屋外、特に自然の中で過ごす時間を持つことは多くの健康上の効果があることが、数々の研究で証明されています。
今回は「The Benefits of Getting Outside」と「9 Benefits of Spending Time Outside for Seniors」の記事を参考に、年を取ってからも屋外で過ごすことで得られる心身の効果をご紹介します。
生活の質が向上する
カナダで行われた研究に、高齢者と「緑と青の空間」との関係について調査したものがあります。「緑と青の空間」とは、森や公園といった自然の緑、湖や海のような水の青がある屋外エリアのことです。
この研究では、65〜86歳の人を対象に「緑と青の空間」が健康と幸福にどのように影響するかを調べました。約1年間をかけたインタビューによる横断調査の結果、研究に参加した多くの人が「自然の中にいることが、運動する動機になった」「自然の中での経験が若返りや気持ちの回復につながった」「社会的な交流の機会が増え、幸福度が増した」と答えました。
これらの結果から、年を取ってからも屋外で過ごす時間を持つこと、特に緑や青を含む自然の中で過ごすことは生活の質の向上につながることがわかりました。
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心身の健康が向上する
アメリカのある研究では、65歳以上の人を対象に屋外で行動する時間と、身体的、認知的、感情的な機能との間にどのような影響があるかを調査しています。
調査対象者にGPSと加速度計(動いているときの速度を測る装置)を7日間装着してもらい、得られたデータを統計的に分析しました。その結果、屋外でより多くの時間を過ごした人は、転倒することへの恐怖心が少なく、抑うつ症状も少ないことがわかりました。また、年を取ってからも自立した生活を維持するために重要なビタミンDの生成や骨の成長にも良い効果があることがわかりました。
年を取っても屋外で過ごすには
年を取ってからも屋外で過ごす時間を持つことには数多くの利点があるにも関わらず、実際は年を取れば取るほど外で過ごす機会が少なくなることも研究では報告されています。足腰が弱って移動が難しかったり、一人暮らしのため外出することを促す人が周囲にいなかったりといったことが原因として挙げられています。しかし、そのようにして屋内にとどまっていることが身体的、精神的健康をより低下させてしまいます。
屋外に出るということは、屋外で活発に運動することだけではありません。外で読書をしたりカードゲームをしたりするだけでもビタミンDの生成が促され免疫システムが強化されます。また、近くの公園を散歩したり、ベンチに座ってバードウォッチングをしたり、あるいは庭でちょっとしたガーデニングをするだけでもいいのです。
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まとめ
屋外で時間を過ごすことは、老化による心身機能の低下を遅らせ、できるだけ健康でいられる時間を長くしてくれます。年を取ってからも外で過ごす方法はたくさんあります。頭に浮かんでくる言い訳は少し横に置いて、外に出て過ごしてみてはいかがでしょうか。
(参考)
The Benefits of Getting Outside
9 Benefits of Spending Time Outside for Seniors
田舎育ち18年、都会暮らし28年、海外暮らし5年。どこにいても緑と土が必要で、ときどき「山が見たい」と駄々をこねます。老後はヨット好きの主人と海と山の両方が見える場所に住みながら、世界各地を旅したい欲張り50代です。