皆さま、最近「土」に触れたことはありますか?
以前、ガーデニングを通して土に触れると、ストレスの発散、不安や悩みからの解放など、さまざまなメリットがあることをご紹介しました。(ガーデニングを通した自然とのふれあい。その良さは意外とたくさんあったのです!)これらのメリットが存在するのは、自然との触れ合いやガーデニングそのものが楽しいからという理由もありますが、実はそれだけではなく「土」そのものにも重要なヒントが隠されていました。
今回はIt’s In The Dirt! Bacteria In Soil May Make Us Happier, Smarterより、土のなかにいるバクテリアの働きについてご紹介しましょう。
土に触れると精神面に良い影響が!
土のなかには数多くのバクテリアが存在します。そのなかのある種のバクテリアには脳内神経伝達物質の1つであるセロトニンを増やす働きがあるということが、研究の結果分かっているそうです。セロトニンは人にやる気を起こさせると同時に不安な気持ちを抑制する働きがあることで知られています。ガーデニングをする人たちは、土を掘り起こしたり土に触れたりしてこのバクテリアを吸いこむことにより、セロトニンを増やすことができるというのです。
もちろんガーデニングに限定した効果というわけではなく、その他のアウトドア活動であっても土に触れる機会さえあれば同じ効果が期待できます。ガーデニングを含めた土に触れるアウトドア活動は、私たちにとっても有益なのです!
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免疫力が低下している人は注意が必要
しかしながら、医療関係施設においてガーデニングを治療やリハビリの一環として行う際、敢えて無菌処理をした土を利用することがあるそうです。これは土には良い菌ばかりではなく、感染症を引き起こすような悪い菌も存在するためです。特に免疫力が低下している人たちは、感染症に対するリスクを考えると注意が必要となります。
子どもの健康にも関係がある
農場で育った子どもは他の場所で育った子どもより、ぜんそくにかかる割合が30~50%低いというデータがあるそうです。土や農場の動物から発生するほこりなどに含まれる多種多様なバクテリアや菌類には、ぜんそくにかかりにくくする効果があることが分かっているということなのです。
この記事から感じるのは、子どもも大人も土に触れることがどれだけ大切なのかということです。ガーデニングなどを通して土によく触れる機会をお持ちの方ならば、作業や活動が終わったあと心地よい疲れとともになぜか気分がスッキリしていることを感じた経験があると思います。それは土のなかにいる特定のバクテリアの存在が関係していたのですね。
コンクリートに囲まれた生活が普通になってしまい、「土」が遠い存在となってしまっている方もさぞかし多いことでしょう。しかし、そんな生活を決して良しとせず、子どもと一緒に泥んこ遊びをしたり、ガーデニングを通して土と触れあったり、アウトドア活動を通して土にたくさん触れる機会を皆さまも積極的に作ってみてはいかがでしょうか。
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《参考URL》
It’s in the Dirt! Bacteria in soil may make us happier, smarter|Metro Blooms
(意訳:菊地薫)
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう!」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。