環境に配慮し「ごみの分別をしましょう」「資源ごみをリサイクルしましょう」「ごみは決められた場所に捨てましょう」現代ではこういったことはすでに当たり前のことになっています。

その一方で分別されていないごみが入ったごみ袋を観光地や高速道路のサービスエリアのごみ箱の前、近所のごみ捨て場でもよく見かけませんか。

人が見ている時はしっかりと分別しますが、そうでない場合は分けずにそのまま出してしまう。残念ながらこういった人たちは一定数いるのです。

今回のテーマはごみの分別よりもさらに一歩進んだ「ごみの持ち帰り運動」についてです。よく聞く言葉ですが具体的に内容をご存じでしょうか?

文字通り「ごみを持ち帰りましょう」ということではありますが、実はそれだけではありません。「ごみの持ち帰り運動」が始まった背景や取り組みの内容、またごみ処理の現状を解説していきます。

「ごみの持ち帰り運動」の始まり

ごみの持ち帰り運動の始まりは1972年(昭和47年)の尾瀬と言われています。
尾瀬は福島県、新潟県、群馬県、栃木県の4県にまたがる標高約2000メートルの山岳地帯。美しい湿原とそこを歩くために整備された木道(もくどう)が有名です。

尾瀬の湿原と木道(もくどう)

昭和30年代に起こった尾瀬ブームによりアウトドアとして多くの登山者が尾瀬を訪れるようになりました。その結果、登山者たちが捨てていくごみが大きな問題となります。当時山の中に1400ものごみ箱が設置されており、そのごみは土の中に埋められていました。しかし次第にごみの処理が追いつかなくなります。

美しい自然がごみによって壊されてしまうことを危惧した尾瀬の関係者たちは「ごみ箱があるからそこにごみを捨てる、それならごみ箱をなくして各自持ち帰ってもらおう」という逆転の発想により1972年(昭和47年)ごみ箱を撤去しました。

これが「ごみの持ち帰り運動」の始まりと言われており、その後全国に広がり現在ではマナーとなっています。

取り組みの内容

尾瀬では現在も「ごみの持ち帰り運動」は続いています。行っている取り組みを以下に解説していきます。

ごみ箱を撤去

先述した「ごみの持ち帰り運動の始まり」でも触れましたが、現在でもごみ箱は設置されていません。ごみ箱を撤去すると山の中にポイ捨てされる懸念があったと思いますので、当時の尾瀬関係者たちにとっては勇気のいる決断だったのではないでしょうか。

それでも登山者はやはり山が好きなので、ごみの持ち帰りに協力してもらえると見込んだのだと思います。

ウェブサイトやポスター掲示などでのごみ袋持参の呼びかけ

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私たちの日常ではごみはごみ箱に捨てることが当たり前になっていますが、尾瀬をはじめとした山やハイキングコース、自然保護に力を入れている観光地ではごみ袋を持参しごみの持ち帰りを呼びかけています。ウェブサイトや山小屋、登山道・ハイキングコースの入口などに掲示されています。

入山者にごみ袋を配布し呼びかける

毎年6月第1土曜日にはキャンペーンを開催。入山者にごみ袋やたばこの吸い殻入れを配布し、ごみの持ち帰りを呼びかけています。6月5日は「環境の日」ということでこの日の近くに決められたようです。

「環境の日」は1972年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念し、国連が定めたことに由来します。ちょうど尾瀬の山開きの時期と重なりタイミングも最適ですね。

観光地やキャンプ場の現状

尾瀬は「ごみの持ち帰り運動の発祥の地」と言われており自然を保護するためにごみの持ち帰りに力を入れています。登山道や山小屋、ハイキングコースの多くも尾瀬にならってごみの持ち帰りはルール・マナーとなっています。

しかしそれ以外の観光地やキャンプ場などではどうでしょうか。

イメージです。

ごみの分別

分別されていないごみ袋や無造作に捨てられているごみを見かけることがあります。ルール・マナーの基本中の基本として、せめて分別して捨てるということだけはしたいものです。「ビニール・プラスチック」「ペットボトル」「缶」「ガラス瓶」「新聞・雑誌」はリサイクルできる貴重な資源です。

関連記事:キャンプ場で起きているごみ問題とは?ごみマナーを考える

生ごみを出さない工夫

食べ残しは生ごみとなり処理に困ってしまいます。食べものは持ち帰れるもので準備する、食べる分だけ作るといった工夫をすると生ごみとして捨てることはなくなります。フードロスを削減するということにもつながります。

ごみを分別し少しでも減らすことで、訪れた先の自治体が行うごみ処理の負担軽減にもつながります。

関連記事:少しの工夫でストレスフリー!キャンプごみを持ち帰る上手な方法

まとめ  

今回は「ごみの持ち帰り運動」について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
「ごみの持ち帰り運動」はよく聞く言葉ではありますがその歴史や背景、取り組みの内容と現状の全体像がざっくりとではありますが見えたのではないでしょうか。

今回の内容をまとめます。

ごみの持ち帰り運動の始まり

1972年(昭和47年)尾瀬で始まりました。昭和30年代の尾瀬ブームにより登山者が増え、その結果、登山者たちが捨てていくごみが大きな問題となったという背景がありました。

取り組みの内容

  • ごみ箱を撤去 
    「ごみ箱があるからそこにごみを捨てる、それならごみ箱をなくして各自持ち帰ってもらおう」という尾瀬関係者の逆転の発想でごみ箱を撤去しました。
  • ウェブサイトやポスター掲示などでのごみ袋持参の呼びかけ 
    ウェブサイトや山小屋、登山道・ハイキングコースの入口などに掲示しごみ袋持参を呼びかけています。
  • 入山者にごみ袋を配布し呼びかける 
    「環境の日」付近の毎年6月第1土曜日にはキャンペーンを開催。入山者にごみ袋やたばこの吸い殻入れを配布し、ごみの持ち帰りを呼びかけています。

観光地やキャンプ場の現状

尾瀬をはじめとする他の山々やハイキングコース以外の観光地やキャンプ場などでは、持ち帰りどころか分別もされていないごみがしばしば見受けられます。

ごみの分別や生ごみを出さない工夫をするなどし、ごみを減らすことで訪れた先の自治体が行うごみ処理の負担軽減にもつながります。

次にアウトドアに出かける際はごみ袋を数枚準備し、自分が出したごみは持ち帰るつもりで計画を立ててみましょう。小さなことから少しずつ、ごみの持ち帰りを始めてはいかがでしょうか。

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