2002年に中国や香港で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)、2012年ごろから中東で広がり韓国で一気に感染が拡大したMERS(中東呼吸器症候群)、そして2019年に世界中に広がった新型コロナウイルス。

国境を越えて猛威をふるう新興感染症の増加は、自然破壊と関係があることをご存じでしょうか。このまま森林伐採などの環境破壊が進めば、パンデミックを引き起こす感染症がさらに増えていくと考えられています。

今回は「Everything on our planet is interconnected – and we are part of the equation」と「Our Role and Relationship With Nature」の記事を参考に、今求められている人間と自然との関わり方について考えてみたいと思います。

増える動物由来感染症

新型コロナウイルスやSARS(重症急性呼吸器症候群)の起源は突き止められていませんが、コウモリではないかと考えられています。また、MERS(中東呼吸器症候群)はヒトコブラクダが感染源であると発表されています。

このような動物を起源とするウイルスが人に伝染することによって発症する感染症は、「動物由来感染症」や「人獣共通感染症」と呼ばれ、近年その種類が増えています。原因が突き止めにくく、また動物のウイルスに対する抗体を人間は持っていないため治療にも時間のかかる動物由来感染症の増加は、人類にとって深刻な脅威と捉えられています。

新しく見つかる感染症の75%が動物由来感染症であるという調査結果も出ていますが、なぜ増加しているのでしょうか。

動物由来感染症と自然破壊

動物由来感染症が増加する背景には、人間による自然破壊があります。

農地の開拓やインフラの開発、燃料や資材としての木材確保などの目的で、世界では森林破壊が進んでいますが、そのような人間の都合で破壊される森の中で野生動物たちは居場所を失っていっています。

森を追われた野生動物は必然的に人間との接触が多くなり、一方で人間は森林伐採によりこれまで踏み込むことのなかった森の奥深くに近づき、これまで触れることのなかった野生動物と接触します。

このようにして野生動物と人間との接触の機会が以前よりも増し、動物の持つウイルスが人間に伝染する確率が高まっているのです。

また、森林が狭くなると森の生物多様性が失われますが、そのことも動物由来感染症の増加に影響しています。森の中に多様な動物がいれば、あるウイルスが発生したとしても、そのウイルスに強い種の体内で消滅していきます。しかし、生物多様性を失った森の中ではウイルスがいつまでも生き続けて、それが人間にまで届く可能性を高めていると考えられています。

自然と人間の関係を見直す

これまで人間は森林を自分たちの利益のために利用してきました。しかし、人間が健康で豊かに暮らすためなら、自然環境を破壊し、野生動物など他の種の生活を侵害してもいいという権利はどこにもありません。

人間も自然の一部です。

人間が自然を利用するのではなく、人間と自然が協力すること、そして多様な生物が住み続けられる地球、持続可能な未来を築いていくための行動が今求められています。

(参考)
Everything on our planet is interconnected – and we are part of the equation
Our Role and Relationship With Nature

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