「Rewilding」(「Re:再び」+「wilding:野生」)とは、簡単に言ってしまうと「再野生化」のことを言います。今回は「Rewilding」(リワイルディング)をテーマに、その具体的な内容、取り組み、効果などについて、こちらの記事を参考にお伝えしたいと思います。

リワイルディングとは

まずは、リワイルディングとは何かという点について見ていきましょう。リワイルディングは大きく分けて2つに分類されるようです。

1.人が開発した土地を開発前の状態、つまりは自然な状態に戻そうというもの
2.哺乳類を保護し、生態系を回復させようというもの(たとえば、絶滅危惧種の保護など)

今回は、前者の「開発した土地を本来の自然の状態に戻すこと」をメインにお伝えしていきます。

ご参考までに、後者の哺乳類の保護による生態系の回復については、数年前に『あたらしい野生の地ーリワイルディング』という映画が日本の映画館で上映されていました。オランダを舞台としたドキュメンタリー映画で、人間の都合によって捨てられた地が野生の楽園となっていく様子を記録したものです。

現在、全編を見ることはできないようですが、ご興味のある方はぜひ内容だけでもご確認ください。また、映像としては予告編のみですが、こちらからどうぞ。(予告編を見るだけでも動植物にとっての楽園を垣間見ることができる楽しい映像ですよ!)

リワイルディングは一体何をするものなのか

「人が開発した土地に自然を取り戻す」というと、整備されている公園や緑地スペースを思い浮かべるかもしれません。しかし、リワイルディングには「野生化」という意味合いが含まれることもあり、人は一歩引いて管理は最小限とし、「自然そのものに管理を任せる」ことを目指します。

たとえば、手入れの行き届いた芝生を考えてみてください。手入れが行き届いているということは、通常芝刈り機を使用しています。場合によっては、芝生以外の雑草を枯らす除草剤が使われることもあります。

仮に、芝刈り機の使用回数を減らしてみたらどうなるでしょうか?これまで育つ機会を奪われてきた野生の草花が生い茂り、やがてそこに昆虫や蝶、鳥などが集まってきます。

その地は生物の多様性が生じることで害虫や病原体の発生が抑制され、同時に殺虫剤の類を使用する回数も抑制されていきます。また、自生した植物は、人が手を加えて育てた自然よりも干ばつに強いと言われています。

正直、景観面から言えば、整備されている公園や緑地スペースよりも、さまざまな草花が生い茂った状態は雑然とした印象になる可能性はあります。見方によっては雑草が伸び放題で見苦しいと感じる方もいるようです。しかし、これこそがリワイルディングなのです。

ドイツで行われているプロジェクト

リワイルディングが積極的に進められているドイツを具体例として、その内容を見てみましょう。ドイツでは、複数の地で2016年から5年がかりのプロジェクトをスタートさせています。記事のなかでは、その中の1つ、デッサウという都市での取り組みについて書かれていました。

デッサウという都市は、かつては工業地帯でした。しかし、残念なことに人口が減少し、多くの廃墟や空き地が目立つような地となってしまったそうです。そこで、市が未使用の土地、おおよそ120ヘクタール(東京ドーム約25個分)を買取り、公共の緑地としてリワイルディングを推進し始めたのです。

人が手を加えるのは最小限とし、あえて”ワイルド”な自然に戻していくことが目的です。一般にリワイルディングは生物の多様性を目的の1つとしていますが、それ以外にも狙いがあります。そこに住む人々の生活をも改善しようとしているのです。

自然が増え、それを目当てに昆虫や小動物が戻ってくると、その地は人々の目にも魅力的に映ります。荒廃したビルや空き地に支配される都市よりも、自然が織りなす風景がある方が、住民にもより良い生活を提供できるのです。

リワイルディングが心や体に及ぼす影響

人は本来、自然と共生してきました。植物や土、鳥や昆虫、そして目に見えない微生物と生活する中で、特に幼少期に強力な免疫システムを構築すると言われています。

ところが、屋内で過ごす時間が増えたため、自然環境で過ごす時間が減少しました。結果として、呼吸器系の健康が脅かされることが増加していると記事では指摘しています。また、土壌中の微生物が生み出す化合物が多様化すると、人のストレスや不安を軽減する可能性がある点についても言及しています。

とは言え、リワイルディングが私たちに何をもたらしてくれるのかは、まだ研究が始まったばかりです。人間の都合で自然を排除し、開発してきた土地を元の状態に戻すというのは一朝一夕には行えません。より詳細なデータは今後の研究結果が待たれるところですが、心身へのプラスの側面を期待したいと思います。

終わりに、今回このテーマを取り上げた際、真っ先に頭の中に浮かんできたのは、日本の都市部の行方でした。新型コロナウィルスを機に加速感を増してきたリモートワークへの移行、それに伴った都市離れ。この流れが今後も続けば、先々の日本においても、リワイルディングのような動きを切望する声がでてくる可能性があるのではないでしょうか。

ウィルスとの闘いが終息した後、働き方の変化だけでなく、日本の都市部がどのように変化していくのかについてもぜひとも注目していきたいですね。

(参考)
Biodiversity blooms in cities when green spaces go wild|Deutsche Welle

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