「屋外学習」「野外活動」といった、教室の外で学習する機会は以前から学校教育の中に取り入れられてきました。校庭で植物や虫を観察したり、野外活動に行ってテントに泊まり、火を起こしてご飯を炊いたりするといった経験は、多くの人がしたことがあるのではないでしょうか。そして、教室の中での勉強より、屋外での経験のほうが記憶に残っているかもしれません。

校庭での植物観察からキャンプまで規模はさまざまですが、屋外で学習することは学習面において多くの利点があります。今回は、「Outdoor Learning – Importance and Benefits」と「7 Surprising Benefits of Outdoor Learning」の記事を参考に、屋外学習の学習効果を紹介します。

記憶に残る学び

屋外学習の最大の特徴は、五感を使うという点です。教科書やデジタル画面を使った学習では視覚と聴覚ぐらいしか使いません。でも、屋外学習では複数の感覚を活用して学ぶことになります。

例えば、乳製品について勉強する場合、教室では生乳がバターになるまでの工程を文字や写真で学ぶことになるでしょう。でも、屋外学習として牧場に行けば、牛の乳絞りから始めて、匂いを嗅いだり、出来上がったバターを食べてみたりして、乳製品の変化のプロセスを全身で体験しながら学ぶことができるのです。

人間の脳は刺激が多いことほど記憶に残るという特性があるため、屋外で複数の感覚を使って学んだことは記憶に残りやすいことがわかっています。スコットランドのある研究機関が、子どもを対象に屋内と屋外での学習の違いについて調査を行っています。その調査によると、子どもたちは屋内での作業よりも屋外での作業のことをより鮮明に覚えていました。また、74.2%の子どもが最初に思い出したのは屋外での作業の記憶でした。

納得感のある学び

屋外学習のもう一つの特徴は、直接学ぶという点です。教科書を読んで知識を取り込むのではなく、実際にどのように変化し、どうなるのかを直接体験しながら学びます。先ほどのバター作りの例もそうですが、牛乳が固まってきてバターになるまでの変化と結果をしっかり見届けることができるのは屋外学習だからこそです。

このような生の体験は深い納得感を与えます。また、さまざまな体験の中で、時には失敗するという経験もあるでしょう。牛乳がうまく固まらず、思っていたようなバターにならないということもあります。でも、失敗を経験することで、なぜ失敗したのかという分析力が磨かれます。また、もっとこうしたらいいのではないかという思考力や行動力も広がっていきます。

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ストレスのない学び

屋外学習は、学びを楽しいものにしてくれます。壁に囲まれた教室でじっと椅子に座っているとストレスもたまるし、眠くもなります。でも、屋外学習ではそんなことはありません。外に出ただけで開放感が味わえますし、外の景色の変化を見れば目も覚めます。

また、屋外学習では必然的に体を動かすことになります。体を動かすことがストレスや不安の軽減につながることはいくつもの研究で明らかになっていますが、屋外学習にもストレスを減らす効果があるのです。

さらに、壁も机もない屋外で自由に動き回ることは、人との交流を生み出します。子どもが生徒や先生、あるいは屋外学習に関わる周囲の人たちと多くの関りを持ちながら学ぶことは、社会的スキルを向上させ、人格の発達にも役立ちます。

まとめ

屋外学習にはさまざまなメリットがありますが、学校教育のカリキュラムでは年に数回というのが実情です。学校以外の場でも、屋外学習をできる機会はたくさんあります。「学習」と堅苦しく考える必要はありません。お子さんと一緒に屋外でいろいろな直接体験をしてみてはいかがでしょうか。

(参考)
Outdoor Learning – Importance and Benefits
7 Surprising Benefits of Outdoor Learning

Nature Serviceのキャンプ場

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