人類の文明が始まって以来、地球上の約半分の樹木が伐採されてきたという事実をご存じでしょうか。今でも森林伐採や火災によって膨大な樹木が失われており、それはサッカーコート一面分の樹木が6秒ごとに失われているのに相当すると言われています。森林や樹木を守ることの必要性が叫ばれて久しいですが、今回は「5 REASONS WE NEED TREES FOR A HEALTHY PLANET」と「The 7 Main Reasons Why Trees Are Important」の記事を参考に、樹木の重要性を再確認したいと思います。

空気を守る

「木は空気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する」ということは誰もが知っていると思いますが、その意味は過小評価されがちです。木々が二酸化炭素を吸収し、その代わりに酸素を放出するということは、空気を安全なものに保っているということなのです。つまり、木々が減れば空気の汚染は進みます。2019年に失われた森林の量は、4億台の車が1年間道路を走ったのと同じぐらいの空気汚染を招いたと考えられています。

また、木は呼吸にとっても非常に重要です。1本の木は年間約260キロの酸素を作り出しており、これは2本の木で4人家族が呼吸するのに必要な酸素が賄われているという計算になります。つまり、樹木が減れば人間は呼吸をすることすら難しい状況になるということです。

病気から守る

医薬品の4分の1は熱帯雨林に生息する植物から作られています(森林と同じく破壊が進んでいるサンゴ礁も加えると、医薬品の約半分が自然界の生物に由来しています)。しかし、このまま森林伐採が進み植物の生息地の破壊が続けば、貴重な種が失われ医薬品不足という事態が引き起こされる可能性があります。

また、昨今、次々と新しい感染症が広がっていますが、これも森林破壊と関係しています。人間に伝染する新たな感染症の4つのうち3つが動物に起因するものだと考えられています。人間が森を破壊することで、これまで触れることのなかった野生動物との接触が増え、動物の持つウイルスが人間に伝染するようになったのです。森林とそこに生息する種を守ることは、次のパンデミックを防ぐことにつながります。

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人為的自然災害から守る

地球温暖化により、猛暑日の増加やゲリラ豪雨の発生、氷河が溶けることによる海面上昇など、世界の各地で深刻な被害が起きています。しかし、樹木は温暖化を抑制することができます。温室効果ガスの一つである二酸化炭素を吸収するだけではなく、 根から水を吸い上げ、葉から蒸発させることで地球を冷やすことができるのです。例えば、大きなナラの木は1本で1年間に約15万リットルの水を大気中に蒸散させることができます。

また、木々が地面に根を張ることで土壌が安定するので、豪雨や洪水が起きたとしても鉄砲水や地滑りの被害を抑えることができます。多くの樹木を守ることは、人為的な気候変動や、それによって引き起こされる災害を軽減することにつながるのです。

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(参考)
5 REASONS WE NEED TREES FOR A HEALTHY PLANET
The 7 Main Reasons Why Trees Are Important

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