『自由』に過ごせることこそが、キャンプの魅力と言えるのではないでしょうか。
食事を楽しみ、焚き火を囲み、自然の中で自分たちなりの時間を過ごす。
日常から離れ、自分たちのスタイルで楽しめることが、キャンプの大きな魅力だと思います。
しかし、キャンプ場には必ずと言っていいほどルールがあります。
火の扱い。
音の大きさ。
ペットの利用。
車の移動。
自然環境への配慮。
なぜ、自由を楽しむ場所に決まりごとが必要なのでしょうか。
キャンプ場は「自分だけの場所」ではない
自然の中にいると、「ここでは自由にしていい」と感じることがあります。
しかし、キャンプ場は一人だけが利用する場所ではありません。
隣には別の家族がいて、静かな時間を楽しみたい人がいて、小さなお子さんと一緒に過ごしている人がいます。
キャンプの楽しみ方は人それぞれです。
家族でにぎやかに過ごしたい人もいれば、自然の音を聞きながら静かに過ごしたい人もいます。
自分にとって心地よい音楽や会話の声が、隣の人にとっては負担になることもあります。
だからこそ、キャンプ場には利用者同士が気持ちよく過ごすための共通のルールがあります。
ルールは自由を奪うためではなく、それぞれの自由を守るために存在しています。
公共施設だからこそ必要な考え方
キャンプ場には、民間が運営する施設もあれば、自治体が設置した公園内にある施設もあります。
鳥野目河川公園オートキャンプ場は、那須塩原市が設置した都市公園の中にあるキャンプ場です。
私たちは指定管理者として、この場所の管理・運営を行っています。
つまり、この場所は私たちだけのものではありません。
地域の皆さんが利用する公共の財産をお預かりし、多くの方が安全で快適に利用できるよう管理しています。
そのため、単に「楽しそうだから」「利用者が喜びそうだから」という理由だけで、何でも自由にできるわけではありません。
公園の施設や自然環境を守ること。
利用者が公平に使えること。
安全に利用できること。
公共施設には、こうした視点が必要になります。
例えば、直火は禁止しています。
焚き火はキャンプの大きな魅力の一つです。しかし、火の扱い方によっては芝生や樹木への影響、火災の危険、地面へのダメージにつながる可能性があります。
また、大音量での音楽や会話も、本人にとっては楽しい時間でも、周囲で静かに過ごしたい利用者にとっては負担になることがあります。
こうしたルールは、楽しみを制限するためではなく、より多くの人が安心して楽しむために必要なものです。
ルールは変わらないものではない
一方で、ルールは一度決めたら変えてはいけないものでもありません。
社会の変化や利用者のニーズによって、見直していくことも必要です。
以前、この公園はペットが利用できない場所でした。
しかし、近年ではペットと一緒に旅行やキャンプを楽しむ方が増えています。
「大切な家族であるペットと一緒に自然の中で過ごしたい」
そうした声に応えるため、ペットサイトを整備し、現在ではペットと一緒にキャンプを楽しめる環境を整えています。
もちろん、ペットが好きな方だけでなく、苦手な方や小さなお子さん連れの方も安心して利用できるよう、利用時のルールを設けています。
大切なのは、禁止するか、自由にするかという二択ではありません。
どうすれば、多くの人が気持ちよく利用できる形にできるかを考えることです。

花火も「できる場所」をつくるという考え方
花火も、時代の変化によって考え方が変わってきたものの一つです。
近年、都市部では安全面や周辺環境への配慮から、子どもたちが気軽に花火を楽しめる場所が少なくなっています。
「子どもに花火を体験させてあげたいけれど、できる場所がない」
そう感じている親世代の声もありました。
そこで鳥野目河川公園オートキャンプ場では、宿泊者を対象に、手持ち花火を楽しめるようにしています。
もちろん、火を扱う以上、安全への配慮は欠かせません。
利用場所や種類、周囲への配慮など、一定のルールを設けた上で楽しんでいただいています。
最近では、都市公園でも条件付きで花火ができる場所が増えてきました。
大切なのは、「危険だから禁止する」だけではなく、「どうすれば安全に楽しめる形にできるか」を考えることです。
管理者の仕事は、自由を奪うことではない
キャンプ場の管理者というと、ルールを決めたり、禁止事項を伝えたりする側と思われるかもしれません。
しかし、私たちが目指しているのは、利用を制限することではありません。
安全を守ることで、より多くの人が安心して楽しめる環境をつくることです。
必要なルールは守る。
一方で、時代の変化や利用者の声に合わせて、見直すべきものは見直していく。
そのバランスを考えることが、キャンプ場運営には必要です。
管理者になって感じるのは、ルールとは自由を奪うものではなく、多くの人が自由に楽しむための土台になるものだということです。
キャンプ場の自由とは、何でも好きにできることではありません。
そこにいる人たちがお互いを尊重しながら、それぞれの楽しみ方を実現できること。
そのために、ルールは存在しているのだと思います。


那須育ち。自然環境保全を専門学校で学び、卒業後は自然と関わりながら働く日々を送りました。今も生き物を見つけると仕事の手が止まってしまうほどの生き物好き。ゲジゲジだけは例外。子どもの頃に那須で過ごした原体験が、今の自分の土台になっていると感じています。だからこそ、この地の自然について正しい知識を伝えていきたい!まずはこの生き物はね、この植物はね、と話しかけるところから始めようと思っています。