「知財も経営上のリスクの一つなので、よりリスクの少ない経営をしましょう」。これから事業を始める人が最初にやるべきことは何か、と聞くと、弁理士法人IPXの代表弁理士・奥村光平氏はそう答え、「まずはこれです」と付け加えた。

キャンプ場の名前は、たいてい思い入れから決まる。ロゴを描き、看板を作り、SNSと予約ページを立ち上げたあとで、同じ名前が別の会社に商標登録されていたと知る。キャンプ場の運営にも携わる編集部から見て、この順番はまだ珍しくない。そのとき動かしにくいのは看板よりも、検索結果や口コミ、リピーターの記憶に紐づいた名前のほうだ。OUTSIDE WORKSは、名前とロゴを公開する前に何を調べればよいかを、奥村氏に聞いた。

弁理士法人IPX 代表弁理士の奥村光平氏

奥村 光平(おくむら・こうへい)
弁理士法人IPX 代表弁理士 COO/CTO。博士(情報理工学)。


第1章:弁理士という仕事の実学——研究者から弁理士へ

知られていないのは、弁理士の側の責任

取材の冒頭、編集部は企画の趣旨をこう説明した。キャンプ場は地方の小規模な事業者が運営していることが多く、知財の相談先を持っている事業者は多くない。そもそも相談すべき場面だと気づきにくい。奥村氏の返答は、業界への批評ではなかった。

奥村:逆に我々弁理士としても、知財の認知が弱すぎるのが悪いことだと思っています。知っていればいいじゃないですか。例えば、コンビニで万引きしてはいけないなんて、誰でも分かるじゃないですか。でも、名前に関して権利侵害してはいけないというのも、もちろん万引きと同じ行為というわけではありませんが、商売をするなら知っておきたい話なんですけど、みんなが知っているわけではないじゃないですか。

「それはこっち側の責任も大きいなと思っていて。だから、どんな方法でも知ってほしいです」

― 奥村光平氏

ラジオ番組とYouTubeでの発信を続けているのも、この延長線上にある。


第2章:名前の実学——商標は「名前」と「何に使うか」の掛け算

「まず名前が一番重要です」

奥村:サービスにしても商品にしても、まず名前を決めますよね。名前があって、ロゴを作る。特に最初は、名前が一番重要です。その名前で「これで行こう」と決めてしまう気持ちは分かるんですけれども、本当にその名前を使っていいのかは、ちゃんと調べた方がいいです。キャンプ場に限らず、あらゆるサービスやプロダクトをローンチするにあたって重要です。

奥村:それだけではありません。商標は、名前そのものと、それを何に使うかをセットで登録します。キャンプ場であれば「キャンプ場施設の提供」といった具合です[1]。同じ名前が登録されていても、使う商品やサービスが似ていなければ、かぶってもいい場合があります。ただ、業種や区分が違うというだけでは判断できません。

問題になるのは、世の中の人が混同してしまうことなんです。法律の言葉では需要者の混同といいます。キャンプ場なら、キャンパーが二つの施設を同じものだと思ってしまうかどうか、です。

同じ名前の特許事務所なら、問題にならないことも

奥村:たとえば私が、「サニーヒル特許事務所」というものを作ったとしましょう[2]。それとサニーヒルキャンプ場があったときにそれと世の中の人が混同するかというと、普通は多分しないじゃないですか。たまたま名前が一緒なんだなと思うかもしれませんが、こういう場合は、同じ名前を使えることもあります。

まずいのは、世の中の人が混同することです。同じ名前のキャンプ場が二つあった時に、片方で何か問題や不祥事が起きたら、もう片方に飛び火してしまうかもしれません。

名前が同一または類似か。商品やサービスが同一または類似か。この二つをセットで見て、両方とも同一または類似なら原則アウト、片方が非類似ならひとまずセーフと考えるのが出発点です。ただし、業種や区分が違うだけでは判断できません。例外もありますが、需要者の混同を防ぐというのが大元の趣旨です。商品が違っても近いものとして扱われる組み合わせもあって、たとえば日本酒と焼酎は類似扱いなんです。

ただ、超有名な商標になると、何に使うかに関係なくアウトになることがあります。極端な例を言うと、「ユニクロ」があるから「ユニクロキャンプ」は要注意です。ユニクロが仮にキャンプ場の区分を取っていなかったとしても、関係のあるキャンプ場だと誤解されるおそれがあるからです。ソニーやアップルなどでも同じです。そのレベルまで来ると、区分が違うから安心とはいきません[3][4]。

商標登録の判断の早見表:名前と商品・サービス(何に使うか)がともに同じか似ていれば原則アウト、片方が似ていなければひとまずセーフというのが出発点。ただし、業種・区分の違いだけでは判断できない。ユニクロやソニーのような著名な商標は例外

事業が広がれば、「何に使うか」も広がる

キャンプ場の事業は、宿泊だけとは限らない。飲食や物販が加われば、名前を使う範囲も広がる。

事例を読む:農家が働くキャンプ場「Collegare」(和歌山県海南市)

和歌山県海南市に実例がある。みかんの段ボール卸売業を営む会社が、農家が働くキャンプ場「Collegare(コレガーレ)」を立ち上げたとき、構想にはオートキャンプ場のほか、トレーラーハウスを使った宿泊施設、バーベキューなどの飲食の提供、オリジナルスイーツの販売が含まれていた。ロゴを作る段階で専門家に商標登録を勧められた同社は、INPIT(工業所有権情報・研修館)の知財総合支援窓口に相談した。弁理士が加わって知財戦略を検討し、事業計画に沿う形で商標の助言を受けて、商標登録(第6682296号)に至っている。キャンプ場は2023年4月に開業した[5]。

名前を通すことと、事業計画に合わせてどの商品・サービスで権利を取るかを決めることは、別の作業になる。後で触れるオンラインサービスを使う場合も、この設計まで相談できるかを確認したい。


第3章:類否の実学——「似ている」を三つの窓から見る

商標が似ているかを判断する3つの基準「外観・称呼・観念」をホワイトボードで説明する弁理士の奥村光平氏
外観・称呼・観念の三つを示して、商標の類否の見方を説明する奥村氏

ユニクロと見間違えるロゴは、まずい

奥村:ロゴだろうと名前だろうと、原則は同じです。商標自体が似ているか、商品やサービスが似ているか、この二つを見ます。そしてユニクロクラスだと、商品やサービスが違ってもアウトになる可能性があります。赤地に白という配色だけで決まるわけではありませんが、ユニクロと見間違えてしまうようなことになってくると、まずいです。

こういうものの専門は弁理士なので、困ったら弁理士に聞けばいいです。プロの目線で言うと、全然関係ないのに心配している例もあります。指定商品が似ていなければ、名前が全く一緒でも大丈夫なこともあります。ユニクロなどだと、特に慎重に見た方がいいですけど。

名前を変えても、ロゴが残っている

奥村:商標が似ているかどうかは、三つの基準で判断します。「外観」「称呼」「観念」、つまり見た目、呼び方、イメージです。この三つを総合して判断します。二つ該当したらアウト、という基準ではありません。

たとえば先ほどの「サニーヒル」を「ウォームヒル」に変えたとします。「サニー」と「ウォーム」なら、称呼は非類似です。外観は、ロゴがほぼ同じなら多分アウトです。観念は、イメージとしては三角ぐらいです。この三つで判断して、最終的に争いがあったら裁判になります。

名前の変更でリスクを消したつもりが、ロゴを引き継いだために外観が残る。改名を検討する場面では、名前とロゴを別々に評価する必要がある。

見た目が違っても「似ている」とされた、コールマンの例

三つの窓を総合するとどうなるか。10年前の判決だが、アウトドアの読者に身近な例がある。

事例を読む:コールマンの商標(知財高裁 2016年)

アウトドア用品のコールマン(The Coleman Company)は2013年、英字の「COLEMAN」を、時計やキーホルダーなどを指定して商標出願した。特許庁は登録を認めなかった。時計の分野には、リズム時計工業が1984年に登録した片仮名の「コールマン」があったためである。コールマン側は特許庁の審決の取消しを求めて提訴したが、知的財産高等裁判所は2016年3月16日、請求を棄却した[6]。

判決は、英字と片仮名で見た目は似ているとはいえないとした。一方で、呼び方はどちらも「コールマン」で同じ。意味の面では、英字の「COLEMAN」は日用品の分野でも広く知られ、時計の取引者もコールマン社の商品と受け取るとし、片仮名の「コールマン」からも同じくコールマン社のブランドが思い浮かぶとして、意味も同じだと判断した。そのうえで、見た目の違いは、呼び方と意味が同じであることを上回るほどではないと結論づけた。ブランドが広く知られていたことが、先に他社の登録がある時計の分野では、かえって両者を結びつける方向に働いた事例である。

名前は「何に使うか」とセットで見られる。三つの窓は総合して判断される。どちらも、この一件に表れている。


第4章:リスクの実学——誰が、いつ、それを問題にするのか

動くのは権利者。ただし、黙っているとは限らない

奥村:当事者、つまり権利者が「これはうちの権利の侵害です」と言うまで、問題が表面化しないこともあります。ただし、何も言われていなくても、侵害になっている可能性はあります。言われたらまずい、という状態です[7]。

奥村:基本的にはそうです。ただ、こちらの反論にも証拠が必要になる場合があります。

「侵害を証明する責任は、基本的には権利者にあります」

― 奥村光平氏

民事だけでなく、刑事の問題になることも

奥村:今の差止めや損害賠償は、民事の話です。知的財産権の侵害は刑事でも扱えるんですが、民事だけで済むとは限りません。刑事で問題になる分かりやすい例は、ルイ・ヴィトンの偽物をそっくりそのまま大量に売っているような場合です。著作権でも、作品を無断で丸ごとコピーして売るような場合が考えられます。ただ、こうした悪質な例だけに限られるわけではありません。

奥村:商標権侵害は、民事で当事者間の話になることもあります。ただ、キャンプ場の名前だから刑事にはならない、とは言い切れません。使い方や認識などによります。

「気づかれていない」は、安全ではない

奥村:それもあります。それはその会社の法務や知財部がどこまでしっかりしているかによります。ただ、大きい会社だと、手を打つでしょうね。

何年も指摘されなかったという事実は、権利がないことの証明にはならない。相手が見ていなかっただけ、という可能性が残る。

同じ名前を、先に登録されていたら

では、自分が使っている名前を別の会社が先に商標登録していたと分かったら、打つ手はないのか。編集部が条文で確かめた範囲では、少なくとも次の選択肢がある。

  • 相手の登録が、どの商品・サービスを指定しているか、いつ登録されたかを確認する。指定が離れていれば、そもそも問題にならないこともある
  • 継続して3年以上、日本国内でその登録商標が指定の商品・サービスに使われていなければ、誰でも登録の取消しを求める審判を請求できる(不使用取消審判、商標法50条)
  • 相手の出願より前から、不正競争の目的でなくその名前を使い、出願の時点で需要者の間に広く知られていた場合は、その名前を使い続ける権利が認められる(先使用権、同32条)。広く知られていたことを示す資料が要る
  • 使用の許諾や商標の譲渡を相手と交渉する。まとまらなければ、改名を含めて判断する

どれが使えるかは、相手の登録の中身と、自分の使用の実績で変わる。調べ始めた段階で弁理士に相談するほうが、判断は早い。

取材に応じる弁理士法人IPXの奥村光平氏
取材に応じる奥村光平氏(2026年9月、弁理士法人IPXにて)

第5章:調査の実学——J-PlatPatで見つからないことは、安全の証明にはならない

キャンプ場の名前を看板・SNS・予約ページで公開する前の4ステップ:名前の候補を出す、J-PlatPatで称呼検索、ロゴは画像でも探す、公開前に弁理士へ相談

第一歩はJ-PlatPat、ただし癖がある

奥村:正しいです。第一歩はJ-PlatPatです。ただ、使い方が少し難しいかもしれません。商標であれば、商標検索や称呼類似検索を使います。

「サニーヒル」で検索すると、称呼が似ている可能性があるものが出てきます。ただ、類否は「外観」「称呼」「観念」の三つで考えるので、出てくるのは称呼が似ている可能性があるものだけです。ロゴ検索はさらに難しくなります。図形分類などを使うので、検索自体がかなり専門的になります。

つまり、三つの窓のうち一つだけを覗いた状態で検索結果を見ていることになる。

取材中、奥村氏は実際にJ-PlatPatの画面を開き、称呼類似検索に候補の名前を入れて、区分で絞り込んでみせた。キャンプ場なら、キャンプ場施設の提供を含む第43類に加えて、物販など事業で使う予定の分野も確認することになる。表記を変えた名前(ひらがな、カタカナ、ローマ字)も候補に入れておきたい。

奥村:第一歩は確かにJ-PlatPatなんですけど、油断もするし、癖がありすぎるので、「J-PlatPatで調べたら自分でやっても大丈夫だよ」とは結構言いづらいんです。

「怖いのが、これで見つからなかったら大丈夫と思ってしまうことです」

― 奥村光平氏

無料判定の「取れません」は、有益な情報

奥村:ロゴならGoogleの画像検索も有効です。あとはToreruというサービスもあります。こうしたサービスを使うなら、調査の範囲や料金に何が含まれるかは確認したいですね[8]。どういうところで権利を取ればいいか、という相談までできるかも見ておく。分かっている人が出願の手続きを頼みたい場合と、そこから相談したい場合では、選び方も変わります。

Cotoboxもあります。商標のオンラインサービスは便利ですね。検索や相談など、使える機能や支援の範囲を確認して選ぶといいと思います。

奥村:どうしてもお金を削りたいんだったら、無料で使える調査サービスがあれば、それを利用して、「他社の商標と類似していて取れません」となったら、その理由で取れないということは、むしろ自分が使ってはまずそうだ、ということなので。ただし、登録できない理由はいろいろあるので、「取れない=使えない」とは限りません。

他社の商標に似ていて登録できないという判定は、同時に、その名前を使うリスクを考える材料にもなる。登録を目的にしていない事業者にとっても、この判定は読む価値がある。

相談料は、まず聞いてみる

相談をためらう理由の一つは、金額が見えないことだ。どこまで頼むと、いくらかかるのか。

奥村:費用は事務所や依頼内容によります。まず「何を相談したいか」を伝えて、見積もりを取ってみてください。相談だけなのか、調査や出願まで頼むのかでも変わります[8]。

商標を登録していなくても、名前を使うこと自体はできる。ただ、登録していなければ、あとから別の会社が近い名前を同じ分野で登録したときに、自分の側から主張できる材料は限られる。先に調べ、必要なら登録を検討する、という順番になる。

権利化の費用より、財産として見る

奥村:知財のいいところは、そもそも財産なので、資金調達などに生かせる場合もあります。特許などが事業の強みとして評価されれば、資金調達の後押しになることもあります。

「財産だと思ってほしいです。権利化にいくらかかる、と思ってしまうかもしれませんが、商売に生かして回収していく、という見方をしてほしいです」

― 奥村光平氏

キャンプ場の名前は、商標を取っただけで資金調達につながるとは限らない。ただし、自社ギアの開発や設備の仕組みに広げていく場合、そこで取る権利は事業計画の材料になる。名前の商標は、その入口にあたる。


【総括】明日から活かせる「名前を守る」3つの鉄則

奥村氏の話から、開業前に名前を守るために今日から使える3点をまとめた。

  1. 名前とロゴは、公開の前に一度止める 看板を作る前、SNSアカウントを取る前、予約ページを立ち上げる前が、止められる最後の場所になる。J-PlatPatでの検索、ロゴのGoogle画像検索、必要ならオンラインの調査サービス。引っかかったら名前を再検討し、引っかからなくても公開前に弁理士に相談する。

  2. 「何に使うか」を、事業計画に合わせて設計する 商標は名前だけでは決まらない。宿泊に加えて飲食や物販を考えているなら、その分野も含めて権利を取る範囲を決める。Collegareのように、構想の段階で専門家と一緒に設計した例もある。名前を通す作業と、権利を取る範囲を設計する作業は別物である。

  3. 「見つからなかった」を安全の証明と読まない J-PlatPatの称呼類似検索で分かるのは、呼び方が近い商標だけである。コールマンの判決のように、見た目が違っても呼び方と意味で似ているとされることがある。先に登録されていたと分かった場合も、不使用取消審判などの選択肢があるので、結論を急がずに弁理士に相談する。


【編集後記】専門家の側に、この業界を待っている人がいる

奥村氏は自分の仕事を予防医療にたとえる。起きる前の備えは弁理士に、争いが起きたら知財に詳しい弁護士とも連携する。この整理は分かりやすいが、予防医療が成り立つには条件がある。予防すべきものがあると、患者の側が知っていることだ。キャンプ場を運営する側から見て、この業界ではその条件がまだ揃っていない、というのが編集部の実感である。

開業準備の段階で弁理士に一度相談することは、事業者が思っているより身近な選択肢だと思う。

この記事で扱った作業は、うまくいっているときほど成果が見えにくい。名前が問題にならなければ、調べた時間も相談料も、何も生まなかったように見える。ただ、名前を守る手札の多くは、失う前にしか作れない。事故が起きなかった状態を、費用の無駄と読むか予防の成果と読むか。判断が分かれるのはそこだけである。


【事務所情報】弁理士法人IPX


【Q&A】キャンプ場の名前と商標、3つの疑問

本記事の内容を踏まえ、読者から寄せられそうな質問にOUTSIDE WORKS編集部が回答します。

Q1. すでに数年営業しているキャンプ場です。今から商標登録を出願できますか。

A1. できます。営業を始めたあとでも出願は可能です。まず、同じか似た名前が同じ分野で先に登録されていないかを調べてください。自分の名前で登録できれば、あとから別の会社が同じ分野で近い名前を登録することは、原則としてできなくなります。先に登録が見つかった場合は、本文第4章の選択肢を参考に、弁理士に相談してください。

Q2. 名前はそのままで、ロゴだけを変えれば回避できますか。

A2. 回避できるとは限りません。名前が同じか似ていて、使う商品・サービスも近ければ、ロゴを変えても呼び方と意味の類似は残ります。反対に、名前を変えてもロゴを引き継げば、見た目の類似が残ります。名前とロゴは別々に評価し、両方を確認してください。

Q3. SNSのアカウント名やドメインを先に取っておけば、名前は守れますか。

A3. 守れません。SNSのアカウント名やドメイン、会社の商号を取得しても、商標権は生まれません。商標権は、名前やロゴを、使う商品・サービスと組み合わせて特許庁に登録することで発生します[1]。アカウントやドメインが取れたことは、その名前を使ってよいという確認にもなりません。


奥村光平氏|プロフィール

奥村 光平(おくむら・こうへい)

弁理士法人IPX 代表弁理士 COO/CTO。博士(情報理工学)。早稲田大学理工学部応用物理学科を卒業し、東京大学大学院で画像処理・コンピュータービジョンを研究して博士号を取得。研究者の道から転じ、特許事務所で実務を学びながら弁理士資格を取得した。大手事務所、中小事務所を経て2018年に独立。スタートアップから大企業までの知財を扱う。知的財産を身近に伝える活動として、ラジオ番組「弁理士おっくんのアイデア革命」(かわさきFMほか)のパーソナリティーを務める。


後編:キャンプギアの権利、意匠登録と契約は大丈夫?作る前に決めることを弁理士・奥村光平氏に聞く

注釈・参照資料

[1] 区分——商標を登録するときの商品・サービスを分類する枠組み。45の区分に分かれており、キャンプ場施設の提供は第43類に含まれる。ただし、区分は商品・サービスの類似の範囲そのものではない。同じ区分でも非類似、別の区分でも類似と判断される場合がある。 ↩ 本文へ

[2] 取材では、実在するキャンプ場の名前を例に説明を受けた。本記事では架空の名前「サニーヒル」「ウォームヒル」に置き換えている。 ↩ 本文へ

[3] 商標の登録を拒む基準は商標法4条1項に列挙されている。他人の先願登録商標と商標が同一・類似で、指定商品・サービスも同一・類似の場合は11号、他人の業務に係る商品・サービスと混同を生じるおそれがある場合は15号などが関係する。登録を受けられるかと、使用が権利侵害や不正競争に当たるかは、区別して検討する。 ↩ 本文へ

[4] 海外の例として、米国では飲料ブランドのMonster Energyが、「4Monster」の表示を使ってキャンプ関連の繊維製品などを扱う中国の事業者2社を訴えた。Monster Energyはタオルやバッグなどの物販も展開しており、2025年10月15日、第9巡回区控訴裁判所は、これらと被告の商品が関連すると陪審が判断し得るなどとして、事業者側に有利だった略式判決を破棄し、審理を差し戻した。その後、2026年3月31日に、Monster Energy側が和解に至った旨を地方裁判所に通知している。侵害が確定した事件ではない。制度も日本とは異なる。 ↩ 本文へ

[5] INPIT知財ポータル「農家が働くキャンプ場のブランド展開を支援!」(2023年8月)。https://chizai-portal.inpit.go.jp/supportcase/2023/08/post-1260.html ↩ 本文へ

[6] 知的財産高等裁判所 平成28年3月16日判決(平成27年(行ケ)第10194号)。出願された商標は「COLEMAN」(指定商品:第14類 時計、キーホルダー、身飾品)、先に登録されていた商標は登録第1716052号。https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-85755.pdf ↩ 本文へ

[7] 商標権侵害には刑事罰の規定もある。商標法78条の罪は、権利者の告訴がなくても起訴できる非親告罪であり、刑事責任は故意などの要件に照らして判断される。「かなり悪質な場合だけ」という限定はない。 ↩ 本文へ

[8] 相談料や調査・出願・登録の費用は、依頼内容や事務所・サービスによって異なる。見積りでは、対象業務、区分数、税込みか税別か、特許庁費用、登録時の費用を含むかを確認する。 ↩ 本文へ


OUTSIDE WORKS(アウトサイドワークス)は、アウトドア事業者向けのビジネス特化型Webメディアです。キャンプ場、グランピング施設、アウトドアツアー、アクティビティなどを運営する事業者に向けて、経営やマーケティングに関する実践的な情報を発信しています。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際の判断は、弁理士等の専門家に相談してください。