「期間限定」と聞くと何となく気になりませんか?「季節限定スイーツ」とか「1週間限定半額」など、その時を逃すと次はいつ出会えるかと思うとぜひ足を運んでみようという気になりますね。

自然界の中にも「期間限定」、その時、その場所に行かないと見ることができない光景があります。「富士山 まぼろしの滝」もその一つです。

滝巡りの好きな友人から「富士山の雪解けの時しか見ることのできない幻の滝がある」という話しを聞いた時、これはぜひ見に行かねばと思い計画を立てました。「幻」ですので果たして見ることができるでしょうか?

富士山 まぼろしの滝とは

富士山のまぼろしの滝とは、須走口五合目(静岡県側登山口の一つ)からしばらく歩いたところにある、5月から6月にかけての雪解けの時期にだけ見ることができる滝です。その時期に行けば必ず見られるのかというとそうでもなく、その日の天気や気温によります。タイミングが良ければ奔流のように流れる川と滝を眺めることができます。まさに「まぼろしの滝」です。

須走口五合目からスタート

出かける当日の朝、起きたらあいにくの曇りでした。気温が低めだと滝が見られるかどうか微妙なところですが、仕事のスケジュール上その日しかなかったので出かけることにしました。自称「晴れ男」、うまくいかない時もあります。

スタート地点は須走口五合目、そこを目指してふじあざみラインを車で上がります。ちなみに、この道路沿いは秋になるとキノコ狩りもできます。

須走口五合目からのルートは分かりやすいです。「まぼろしの滝」方向の案内があり、ルートにはロープがはってあるので迷うことなく滝までたどり着くことができます。

ロープに沿って歩けば迷うことなく滝まで行くことができます。

歩きながら、厳しい冬を乗り切り咲き始めた花や芽吹き始めた緑を見ることができました。

岩地に咲く白い花。力強い生命力を感じます。
木々も芽吹いています。

ダケカンバは雪の重みのせいでしょうか、斜めに生えていました。

途中雲が切れたときに、残雪のある富士山の山肌が見えました。

その後順調に歩を進め、川が流れているはずのところに着きましたが、やはり曇りで気温が低いためか水の流れが見えません。他の登山者と一緒に周辺を歩きながら待っていると、やがてちょろちょろと小さな流れが現れてきました。

上流から水が流れてきました!

それが徐々に水量が増えてきて、川となり、段差のあるところでは滝のようになってきました。

到着した時は何も流れていなかったんですよ!立派な川の流れになりました。

気温からして今日はダメかも…と半ばあきらめていましたので、流れ始めの瞬間を目撃できたことに感動しました。期間限定のまぼろしの滝に出会えて良かった!

先人たちへ思いをはせて

この珍しい光景を見てふと考えました。

この幻の滝を最初に、誰が、いつ、どのように見つけたのか。ひたすら広大な富士山をどれほど歩き回ったのか。滝が発生する条件を確かめるために、何回、何年通ったのか…。もしかしたら世代をこえて託されてきたのかもしれない…。そんなことを思うと、滝の存在を確かめた先人たちの好奇心や粘り強さに敬意を表したいと感じました。

今回の旅は、富士山の大自然を楽しみつつ、先人たちへ思いをはせることのできた忘れがたい旅となりました。あいにくの曇りでしたが、それはそれで幻想的な雰囲気を醸し出してくれました。でも次回はやはり晴れている時に訪れたいですね。皆さんも自然界の「季節限定」を探しに出かけてみてはいかがですか?

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