森林浴やガーデニングなど、自然と親しむことが心や体に良いことは知られています。自然は私たちの五感に働きかけて良い影響を与えてくれているのですが、きちんと感じられているでしょうか。

今回は「How Nature Benefits Us Through All Our Senses」「Use Your Five Senses to Connect With Nature」の記事を参考に、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を通して得られる自然の効果をご紹介します。

視覚

自然を「見る」ことは、不安やストレスを軽減してくれます。

ある病院で、入院中の患者に木々の景色とレンガの壁の景色を見せて体調の変化を比較するという調査を行いました。すると木々の景色を見せた患者は気分が落ち着き、心拍数も低下し、退院の時期が早くなることがわかりました。

この調査では、本物の木々の景色だけではなく、写真や映像を見せるだけでもある程度の効果が得られることが確認されています。パソコンの画面やビルの壁しか見ていないという人は、スクリーンセーバーを自然の景色に変えるだけでも効果が得られますよ。

関連記事:世界自然遺産を歩いてみよう。白神のブナ林散策で探る森の魅力。

聴覚

自然の音を「聞く」ことは、安全であることを認識させ、心を落ち着かせてくれます。

音のない静かな場所にいて、怖いと感じたことはありませんか。自然界で動物は危険を感じると動きを止めて沈黙します。つまり「静けさ」は危険な兆候の一つなのです。

逆に、鳥や虫の鳴き声が聞こえると、私たちの脳は「ここは安全だ」と認識します。また、川の流れる音や木々が風に揺れる音などが聞こえると、周囲の環境を把握できるので安心できるのです。

ある実験では、自然を模した展示を見せた時、自然の音がある場合とない場合とでは、音があった時の方がより安心感を得るという結果が出ています。

関連記事:今年は森で元気になろう!森の中での五感の潤し方【聴覚編】

嗅覚

自然の匂いを「嗅ぐ」ことは、気持ちを高めたり心をリラックスさせたりしてくます。

嗅覚を利用した自然療法にアロマセラピーがあるように、古くから嗅覚と健康の結びつきは強いと考えられています。

ある実験では、森の香りやラベンダーの匂いは脳波の変化が測定できるほどの影響力を持っていることがわかりました。また、別の実験では、蜂蜜の匂いや夏の空気の香りは幸福感を高め、花の香りは気分を高めることが示されています。

毎日の生活の中で、ちょっとした自然の匂いに意識を向けてみるといいですよ。

関連記事:今年は森で元気になろう!森の中での五感の潤し方【嗅覚編】

触覚

自然に「触れる」ことは、心と身体を癒やしてくれます。

瞑想やヒーリングの方法の一つにグラウンディングがあります。これは、裸足で芝生の上を歩いたり、砂浜に寝転がったりするなどして、自然に直接触れることで心や身体を癒やす方法です。

まだ科学的な研究はあまり多くありませんが、グラウンディングによって血流が良くなった、筋肉の損傷と痛みが減ったという結果も出ています。

「母なる大地」「母なる自然」とも言われるように、偉大な自然に触れることで癒やしを得られることは間違いないようです。

関連記事:今年は森で元気になろう!森の中での五感の潤し方【触覚編】

味覚

自然を「味わう」と言うと少し妙に感じるかもしれませんが、自然の恵みを食べて味わうことは、私たちの健康を保ってくれます。

味覚は、自分が食べているものが安全かどうかを区別する重要な役割を持っていると同時に、「おいしい」という満足感や喜びを与えてくれる感覚です。

加工食品を食べるよりも、自然のままの食品を食べる人の方が、不安感を持ったりうつ病になったりする傾向が低いことがわかっています。また、自分で育てたものを食べる方が幸せを感じ、自分自身のことを肯定的に捉える傾向があるなど、精神面に良い影響があることもわかっています。

まとめ

自然は、五感を通してさまざまな効果をもたらしてくれます。大切なのは、自分自身が五感をフルに活用することです。自然を見て、聞いて、嗅いで、触れて、味わってみてはいかがでしょうか。

(参考)
How Nature Benefits Us Through All Our Senses
Use Your Five Senses to Connect With Nature

コメントを残す