キャンプには欠かせない存在の焚き火。炎をじっと一人で見つめるのも良いですが、時には人との対話や友情・つながりを感じるために活用してみませんか。今回は、焚き火にまつわるエピソードを持つ人物をご紹介しましょう。
焚き火 with 大統領!
焚き火の場を大統領との対話に利用した人物がいます。彼の名はジョン・ミューア。スコットランドからアメリカに移住し、アメリカの自然保護活動に大きく貢献した人物です。
今から100年以上も前の1903年、ミューアは時の大統領、セオドア・ルーズベルト(第26代米大統領)と3日間のキャンプをともにしました。夜になると焚き火を囲み、ヨセミテ渓谷の保全を強く訴えかけたと言います。
ミューアにとって、焚き火の炎が作り出す優しく温かい空間は、自然保護に対する思いの丈をぶつけるうってつけの場所だったのかもしれません。ジョン・ミューア、なかなか思い切ったことをした人物です。
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焚き火 with ファン!
そしてもう一人、焚き火を語る上で欠かせない人物がいます。イギリスのロッカー、ジョー・ストラマーです。彼は 焚き火 をこよなく愛した男でした。グラストンベリー・フェスティバルと呼ばれる野外ロック・フェスティバルでは自らが火を焚き、ファンと共に炎を囲み焚き火を楽しんでいたそうです。
彼にとって焚き火の炎は、その前にいる誰をも平等に照らし、自身が有名人であることも忘れさせてくれる存在でした。人々と真の意味で友情やつながりを感じ取れる場所、それが焚き火であると考えていたようです。ミュージシャンである彼にとって音楽は大切なものでしたが、それと同等、もしくはそれ以上に焚き火を大切にしていたそうです。
ジョン・ミューアとジョー・ストラマーの話を紹介している記事には、「焚き火は誰のものでもなく、その場にいる皆のものである。」と書かれています。有名、無名、職業、年齢を問わず、炎の前では誰もが対等でいられるということなのです。
焚き火を囲み大統領と対談したジョン・ミューアしかり、ファンとの交流を楽しんだジョー・ストラマーしかり、焚き火には社会的立場などの垣根をすべて取っ払い、本当の友情やつながりを生み出す効果があるのかもしれません。
焚き火にはリラックス効果があり、その炎は不思議なほど穏やかで温かみのある空間を作り上げてくれます。ぜひ家族や友人を誘い合って一緒に炎を囲み、ともに笑い、はしゃぎ、語り合ってみませんか。
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The campfire-is-new-dinner-party|The Guardian
Matthew de Abaitua (意訳:菊地薫)
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう!」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。